・磁界とは
・右ネジの法則とは
黒板や冷蔵庫に磁石がくっつく、方位磁針のN極(赤い部分)は北を向くなど、磁界や磁力は身近に存在する物理現象です。
砂鉄が磁石にくっつく等、なんとなく磁界や磁力について知っていると思いますが、この分野では、磁界や磁力についてもう少しだけ詳しく勉強します。
ただ、詳しくは物理基礎ではなく物理で勉強することになるでしょう。
今回は、磁界と右ネジの法則について、わかりやくす簡単に説明していきたいと思います。
磁界とは
磁力(磁気力)がはたらく空間のこと
磁界とは、磁力(磁気力)がはたらく空間のことです。
磁石の近くに磁石を近づけると、磁石と磁石はくっつきます(もしくは反発します)。
磁石と磁石を直接触れ合わなくても、磁石を近づけるだけで力を受けますよね。
磁石がなければ何もなかったはずの空間が、磁石があるせいで「磁石を引っ張ろうとする空間」に変化すると考え、そのような空間を磁界といいます。
磁界があるのは磁石の近くだけではありません。
「何もない空間」であれば、方位磁針は動きません。
しかし、「磁石を引っ張ろうとする空間」では、方位磁針は磁界の影響を受けて動きます。
地球上では地球がつくる磁場の影響で方位磁針は動いてしまうので、地球上のすべての場所に磁界があるということですね。
磁界には向きがあり、N極から出てS極に入るような向きが磁界の向きです。
また、磁界の向きを表す曲線のことを磁力線といいます。
右ネジの法則とは
右ネジが進む向きを電流の向きとしたとき、電流がつくる磁界の向きはネジが回る方向となる
右ネジの法則とは、右ネジが進む向きを電流の向きとしたとき、電流がつくる磁界の向きはネジが回る方向となるという法則のことです。
正直、何を言っているのか分かりにくいですよね。
「右ネジって何?普通のネジとは違うの?」
「回る方向って何?どういうこと?」
と思うのではないでしょうか。
右ネジとは、ネジの頭側から見て右回りに回すと進むネジのことです。
ペットボトルのキャップを締める向きも右回りであり、ペットボトルのキャップと同様に、右に回すことで下に進みます。
世の中に出回っているほとんどのネジは右ネジなので、ネジといえば右ネジのことを想像することが多いのですが、左ネジも存在しているので、きちんと右ネジと呼んでいます。
電気と磁気は別々の現象ではなく、お互いがお互いに影響を与えます。
磁石を置けば磁石の周りに磁界はできます。しかし、磁石を置かなくても電流を流すだけで磁界ができます。
このことを知ることが、今回の最も重要な内容です。
右ネジの法則は、上図のように右手を「いいね!」「GJ!」のような形に握り、考えることが多いです。
電流をぐるーっと一周するように磁界ができると覚えておきましょう。
当然ですが、電流が流れている導線に近ければ近いほど、磁界も強くなります。
円形電流が作る磁場・コイルが作る磁場
右ネジの法則を考えるときは、大きく分けて3パターンしかありません。
1つめは、先ほど説明したような「直線電流が作る磁場」です。電流が真っすぐ流れたとき、その周りに磁場ができます。
2つ目は、上図1枚目のような「円形電流が作る磁場」です。円の中心を通るように磁場ができます。
3つ目は、上図2枚目のような「コイルが作る磁場」です。コイルの中心を通るように磁場が発生します。
次回の内容である「フレミング左手の法則」では、「親指が力・人差し指が磁場・中指が電流」と決まっているのですが、右ネジの法則では、親指は電流と磁場のどちらでも構いません。どちらで考えても同じ結果になります。
円形電流とコイルが作る磁場を考える場合では、回転している方向を電流とし、親指を磁場の向きとして考えると簡単に方向が分かるため、オススメです。
例題
図のように、紙面の中心に、直流電流を手前の向きに流した。このとき、点Pと点Qにおける磁場の向きは上下左右のどれになるか。
まとめ
磁界とは、磁力がはたらく空間のことです。
磁石があれば磁界は生まれますが、電流を流すことで磁界をつくることができます。
電流が流れたとき、どの方向に磁界ができるかは「右ネジの法則」に従います。
直流電流、円形電流、コイルと、大雑把に三種類の問題が出題されるので、どの向きに磁界ができるのか分かるようにしておきましょう。