・単位とは
・次元とは
・単位と次元の違い
物理の様々な記号には単位というものが付いています。
単位と次元について理解していると、物理の式に対する理解が深まったり受験対策になったりするので、理解しておくと得です。
今回は、単位と次元について、わかりやすく簡単に解説していきます。
単位とは
数字や量の基準となるもの
物理単位のことを、物理では「単位」と呼んでいる
単位とは、数字や量の基準となるもののことです。物理単位のことを、物理では「単位」と呼んでいます。
具体的にいうと、
・長さの[m](メートル)
・質量の[kg](キログラム)
・時間の[s](秒)
などが、単位になります。
「長さは10だったよ」と言われても、何も伝わりません。
10mなのか、10cmなのか、10kmなのか分かりませんよね。
私たちは、物体の様々な性質(質量、長さ、速度、密度、抵抗など)を他人に伝えるために、その性質を数値化します。
その際、何を基準にしているのかを明確にする必要があります。それが単位というものです。
単位には、基本となる3つのルールがあります。
①異なる単位を持つ数値を足したり引いたりしてはいけない。
上図のように、300kg+10mは計算することができないのです。
もし、自分の解答が、F+aのように、異なる単位を持つ物理量を足している場合、間違えている可能性を考えるべきでしょう。
②異なる単位を持つ数値であっても、掛け算や割り算をすることは可能。
50m÷10sのように異なる単位を持っている場合でも、掛け算と割り算であれば計算することができます。
このとき、計算結果は[m]÷[s]を表す[m/s]となります。
③物理の式は、右辺と左辺で単位が等しくなる。
例えば\(x=v_ot+\frac{1}{2}at^2\)は、
[m]=[m/s]×[s]+[m/s2]×[s2]
となり、両辺共に[m]になります。
※\(\frac{1}{2}\)などの単位(次元)を持たない数値のことを無次元量と呼びます。
③を利用すると、
\(F=ma\)から、[N]=[kg・m/s2]ということが分かり、
\(U=mgh\)から、[J]=[kg・m2/s2]ということが分かります。
基本問題としてよく聞かれる内容ですね。
次元とは
単位をもっと抽象化したもの
物理単位がどの基本単位を組み合わせてできているのかを表す
次元とは、単位をもっと抽象化したものであり、物理単位がどの基本単位を組み合わせてできているのかを表すものです。
国際単位系(SI)では、下の表にある7つの基本単位を定めています。
量 | 物理単位 | 次元 |
長さ | m | L |
質量 | kg | M |
時間 | s | T |
電流 | A | I |
熱力学温度 | K | Θ |
物質量 | mol | N |
光度 | cd | J |
これら以外の物理量の単位は、この基本単位を組み合わせて作り出します。
単位系には、国際単位系以外にも、CGS単位系やMTS単位系などがありますが、高校物理では国際単位系を考えます。
単位と次元の違い
長さには「メートル」や「マイル」、「ヤード」などの単位がありますが、どれも長さであることには変わりありません。
このような、「メートル」や「マイル」、「ヤード」などが単位であり、長さという概念自体が次元です。
長さには、[m][cm][km]などがありますが、全部まとめて長さの次元であるLであると考えます。
物理単位は基本単位を組み合わせて表すことができるため、
[m/s]はLT-1
[m/s2]はLT-2
[kg/m3]はML-3
のように表します。
例題
例題1
次の物理単位を、国際単位系の基本単位であるL、T、Mを用いて表しなさい。
(1)[kg・m/s2]
(2)[J]
まとめ
単位とは数字や量の基準となるもので、[m][s][kg]などのことです。
長さには[km]や[mm]もありますが、高校物理では、国際単位系(SI)である[m]を基本単位として定めています。