・変圧器とは
・送電について
コンセントの電圧は100Vですが、発電所で100Vの電気を作っているわけではありません。
発電所で約1万Vの電気を作り、変圧器で電圧を数十万Vに変化させ送電線に送ります。
さらに、各所の変電所や変圧器により少しずつ電圧を下げ、最終的に家庭には100Vとして送られてきます。
今回は、なぜ高圧にして電気を送るのか、変圧器はどのような仕組みなのかについて、わかりやすく簡単に解説をしていきます。
変圧器とは
交流の電圧を変化させる装置
変化する前の電圧V1と1次コイルの巻き数N1、変化した後の電圧V2と2次コイルの巻き数N2には
$$V_1:V_2=N_1:N_2$$
という関係がある
また、電力Pは失われないので、
$$V_1I_1= V_2I_2$$
も成り立つ
変圧器とは、交流の電圧を変化させる装置のことです。
交流では変圧器を使って簡単に電圧を変化させられるということが、私たちが直流ではなく交流を使っている理由の一つです。
上図のように、鉄心に2つのコイルを巻き、片方のコイルに交流電流を流すと、コイルの中の磁場が変化し、電磁誘導によりもう片方のコイルにも電流が流れます。
このとき、コイルの巻き数Nとコイルの両端の電圧Vには
$$V_1:V_2=N_1:N_2$$
という関係があります。
また、電力Pは失われないので、VIは一定であり、
$$V_1I_1= V_2I_2$$
も成り立ちます。
なお、式の導出は物理基礎ではなく物理の方で勉強します。
送電
発電所でつくられた電気は、変圧器により高圧に変換され、送電線によって送られてきます。
電線は抵抗が小さいのですが、とても長いため抵抗を無視できません。電線といえども、長ければ無視できない量のジュール熱が発生してしまい、エネルギーが失われてしまいます。
電圧が大きくすることでエネルギーのロスを抑えることができるので、数十万Vに電圧を上げてから送電をしています。
発電所から送電されるとき、電線の抵抗を無視できずジュール熱として電力が失われてしまいます。
発電所で作られる電力を大文字のP、電圧をV、電流をIとし、失われる電力を小文字のp、電線の抵抗をrとします。このとき、並列ではなく直列と扱えるので、電線での電流もIになります。
電線にどのくらいの電圧がかかるのか分からないため、電線で失われる電力は\(P=VI\)ではなく\(P=RI^2\)を用いて
$$p=rI^2$$
となります。
発電所から送られる電力は
$$P=VI$$
なので、この2つの式より
$$p=\frac{rP^2}{V^2}$$
となり、発電所から送られる電圧Vが小さければ小さいほど、失われる電力も小さくなります。
例題
以下の各問に答えなさい。
(1) 一次コイルの巻数が200回、二次コイルの巻数が1000回の変圧器がある。一次コイル側の電圧が50Vのとき、二次コイル側の電圧何Vか。
(2) 一次コイルの巻数が200回、二次コイルの巻数が1000回の変圧器がある。一次コイル側の電流が50Aのとき、二次コイル側の電流は何Aか。
まとめ
交流では、変圧器を使って電圧を変えることができます。
公式は、コイルの巻き数Nを用いて\(V_1:V_2=N_1:N_2\)となります。
また、変圧器では電力が失われないため、\(V_1I_1=V_2I_2\)という式を使うこともあります。
電気を送るとき、電圧が大きければ大きいほど失われる電力も小さくなるため変圧器を使っています。