『幼児教育の経済学』で幼児教育の重大さを学ぶ

幼児教育の経済学
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こんにちは!かいしーです!

かいしー読書部では、私が読んだ本を紹介していきます!

今回紹介するのは『幼児教育の経済学』です。

ここ最近色んなところで聞く「非認知能力」の提唱者であるジェームズ・J・ヘックマンの著書。

色んな本で名前が登場するジェームズ・J・ヘックマン。

思ったより薄くて短い本でした。読むのに2時間かからないくらいです。

なぜ「幼児教育」が大切なのか?

その根拠を知ることのできる一冊なのかなと思います。

『幼児教育の経済学』|要約・著者紹介

要約

やる気・忍耐力・協調性――幼少期に身につけた力が、人生を変える!

なぜ幼少期に積極的に教育すべきなのか?
幼少期に適切な働きかけがないと、どうなるのか?
早い時期からの教育で、人生がどう変わるのか?

ノーベル賞学者が40年にわたって追跡調査
脳科学との融合でたどりついた衝撃の真実!

●5歳までの教育は、学力だけでなく健康にも影響する
●6歳時点の親の所得で学力に差がついている
●ふれあいが足りないと子の脳は萎縮する

子供の人生を豊かにし、効率性と公平性を同時に達成できる教育を、経済学の世界的権威が徹底的に議論する。

「就学前教育の効果が非常に高いことを実証的に明らかにしている。子供の貧困が問題となっている日本でも必読の一冊」解説 大竹文雄

「教育は幼少期の環境・対応が大切であり、子供には注意を払うことが必要だ。」という本。

恵まれない家庭の子供たちの幼少期の体験に社会が介入すれば、恵まれない家庭の子とそれ以外の家庭の子とのスキルの格差を狭めることができる。

その根拠は「ペリー就学前プロジェクト」と「アベセダリアンプロジェクト」の二つ。

ペリー就学前プロジェクトは1962年〜1967年にミシガン州イプシランティで低所得でアフリカ系の58世帯の子供に実施されたプロジェクト。

毎日午前に2時間半授業中を受ける、週1で家庭訪問し90分指導する、子どもの自発セを大切にする活動を30週間行い、40歳まで追跡調査した。

アベセダリアンプロジェクトは1972年〜1977年に生まれたリスク指数の高い家庭の恵まれない子ども111人を対象としたプログラム。

平均年齢生後4.4ヶ月の子に8歳になるまで年間を通して介入を行った。30歳まで追跡調査を行った。

どちらのプロジェクトでも、介入することによって良い結果(学歴が高い、収入が多い、持ち家率が高い、生活保護受給率や逮捕率が低い等)になった。

各分野の専門家の意見を載せつつ、最後にもう一度著書の意見を載せるという形。

著者紹介

ジェームズ・J・ヘックマン(ジェームズ J ヘックマン)

1965年コロラド大学卒業、1971年プリンストン大学でPh.D.(経済学)取得。1973年よりシカゴ大学にて教鞭を執る。1983年ジョン・ベイツ・クラーク賞受賞。2000年ノーベル経済学賞受賞。専門は労働経済学。

ノーベル経済学賞の受賞理由は「ミクロ計量経済学において、個人と家計の消費行動を統計的に分析する理論と手法の構築」。

『幼児教育の経済学』を読もうと思ったきっかけ

近年に発売された教育関係の本を読むと必ずと言っても良いくらい登場する。ジェームズ・J・ヘックマンが。

非認知能力の重要さを語るとき、根拠の一つとして必ず名前が挙がるくらいよく見かける。

非認知能力の重要さと幼児教育の重要さについては色んな本を通して知った。

非認知能力の重要さは本を読まなくても日常的に思うところはあるというか、学力で測れない人間性が大切なのは世の中を見ていれば誰しもが分かるものだろう。

なぜ非認知能力が重要なのかはもういい。でも、まだ知らない何かがあるかもしれないから一度は読んでおこうと思い、手に取った。

『幼児教育の経済学』から学んだこと

「幼児教育が大切だ」ということの根拠。

「ペリー就学前プロジェクト」と「アベセダリアンプロジェクト」という2つのプロジェクトが『幼児教育の経済学』の根拠になっていることが学んだことですね。

幼児教育への介入(お金を渡すだけじゃなくて、授業をしたり構ったり良い声掛けをしたり。詳細は不明。)がIQに与えた影響は限定的で、幼児期の学力は確かに上がったが10歳時点で追いつかれてしまう。

しかし、40代になると生活に差が出てきている。学力などの認知能力に差がなかったとしても、非認知能力の差で生活に差が生まれることが分かった。(生活の差とは、将来的に収入が高くなり、逮捕率が低くなり、持ち家率が高くなり、生活保護受給率が低くなること)

このように、「非認知能力」は生活に大きな影響を与える。そして、非認知能力は幼少期の環境・教育による影響を受けるという。

当然かもしれないが、お金があって教育をする余裕のある家庭だと非認知能力も高くなる傾向にある。そういうものだよね。

幼少期の環境・教育で将来的な生活が変わるのであれば、20歳や40歳を対象にお金・時間を使って支援するより、幼児期の子供にお金・時間を使った方が「犯罪率、収入(税金として帰ってくる額)、生活保護受給率、医療費の削減など」の面でコスパが良い、という考えは他の本で何度も紹介されているのを見かけたので新しく学んだことではないが、この本から学べることの一つだろう。

感想

「介入するのであれば幼児期が良い。非認知能力が大切だ。」

という意見に反論は一切ない。直感的にも理論的にもそれが正しいと思う。

40歳の人にお金を出すより1歳の子にお金を出す方が低コスト高リターンだろう。(だからといって大人に支援をしない理由にはならないが。)

ただ一つだけ言いたいことがある。

「ペリー就学前プロジェクト」と「アベセダリアンプロジェクト」。合わせて200人未満で人数が少ないしデータは少し古いし、良い結果といっても微妙な差のように感じる。根拠として少し弱いんじゃないかな。

もっと多くの人数、多くの場所、多くの介入方法、多くの人種や国で実験しないと一概には言えないと思う。データ・実験不足のように感じた。まぁ、知らないだけでもっとたくさん研究があるのかもしれないけど。

もちろん、ジェームズ・J・ヘックマン氏の意見に価値が無いとは全く思わないし、今あるデータから見たら幼児への介入によって良い効果を生み出してるのは間違いなさそう。

介入したことによって能力が落ちたという話もあるけど、それは質が低いだけ(無償サービスだったり)で、大きな反対意見がないという面もある。

マクロ的に見ると、幼児教育に力を入れることで労力以上の結果が生まれることは分かった。でも、ミクロ面。実際どのような声かけをするのか・どのような指導をするのかの部分に欠けていたので、それは別の本なり経験なり常識から知ればいいのかなと思いました。

幼児教育の経済学

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