シロアリとアリは近い種類の仲間ではなく、実はシロアリはゴキブリの仲間であり、アリはハチの仲間であることをご存知でしょうか。
名前の付け方はそうなのですが、分類として考えると違う種類の昆虫なのです。
シロアリとアリは何が違うのでしょうか?
今回は、シロアリとアリの違いについて簡単に説明します。
シロアリはゴキブリの仲間、アリはハチの仲間
生物の分類は「~~界、~~門、~~網…」と分類するのが一般的です。
シロアリとアリの分類は下図の通りで、
シロアリはゴキブリ目、アリはハチ目に分類されていることが分かります。
遺伝子分析でも、アリは約2億年前の中生代のジュラ紀・白亜紀の頃にミツバチの祖先から分化したことが分かっており、一方、シロアリは3億年以上も前の古生代の石炭紀の頃に出現したことが分かっています。
つまり、生物の分類上、シロアリとアリは同じ昆虫ではありますが、分類上はイヌとネコくらい遠いのです。
シロアリとアリの大きな違いは”完全変態”するかどうか
シロアリとアリの大きな違いは”完全変態”するかどうかです。
完全変態と不完全変態の違いは簡単で、2つの違いは”さなぎになるかどうか”という点で異なります。
アリやハチは幼虫と成虫の間でさなぎの時期があるのですが、シロアリやゴキブリはさなぎにならない点で異なるのです。
アリのさなぎなんて想像できない方が多いと思います。「アリ さなぎ」で調べると写真が出てくるので、気になった方は調べてみるとよいでしょう。
アリはミツバチの祖先から分化したので、ハチと同様にさなぎになる時期のある昆虫。
シロアリはゴキブリの祖先から分化したので、ゴキブリと同様にさなぎにならない昆虫。
ということですね。
社会性は似ている
しかし、シロアリとアリには似ている点もあります。
働きアリ・兵アリと役割が分かれ、女王アリが卵を産み、コロニーを作って集団で生きる。
専門用語を使うと真社会性があると言うのですが、真社会性という特殊な社会性を持っている点でシロアリとアリは似ているのです。
しかし、シロアリはゴキブリの仲間、アリはハチの仲間であり種類が異なるのにも関わらず、どうして女王や働きアリ・兵アリ、コロニー等の同じ特徴を持っているのでしょうか。
実は、違う種類の生物でも進化の過程で似たような特徴を持つことがあり、そのような現象を収斂進化(しゅうれんしんか)と言います。
サメは魚類、イルカは哺乳類にも関わらず、似たような特徴を持っていますよね。色とかフォルムとか。
サメとイルカが似ているのと同じく、同じような環境で生活してきたため、シロアリとアリは似た特徴を持っているんですね。
他にもたーーくさん収斂進化の例はあります。色々調べてみると面白いですよ。
まとめ
シロアリとアリは別の種類の昆虫です。近縁種ではありません。
シロアリはゴキブリの仲間であり、ゴキブリと共通の祖先がいます。
一方、アリはハチの仲間であり、ミツバチと共通の祖先がいることが知られています。
シロアリとアリの大きな違いは「完全変態」か「不完全変態」かであり、アリはさなぎになりますが、シロアリはさなぎになりません。
しかし、女王がいたり、役割が細かく分かれていたり等の共通の特徴を持ちます。
違う生物であるにも関わらず、非常に似た特徴を持つようになることを収斂進化と言います。
今回は以上です!