仕事とエネルギーとは

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この記事で学べる内容

仕事とは

仕事とエネルギーの関係

仕事の問題の計算

「仕事」と聞くと「サラリーマンとかバイトで働くこと?」って思う人が多いでしょう。

物理では、「仕事」という言葉を、汗水流して働くことでも、何かを作り出すという意味でもなく、独自の意味の言葉として使っています。

また、「仕事」と「エネルギー」は深い関わりがあります。
仕事とエネルギーにどのような関係があるのかを理解しておくと、物理基礎ではなく物理の方で役に立つことが非常に多いです。

今回は、「仕事」とは何か、「エネルギー」とは何かについて、わかりやすく簡単に解説をしていきます。

仕事とは

仕事W[J]

物体に力Fを加え、力の方向に距離sだけ動かしたとき、物体に仕事をしたと言う。

$$W=Fs\cosθ$$

(s:移動距離[m] 変位xと同じようなもの)

どれくらいのエネルギーを与えた(奪った)か。

物体に力Fを加え、力の方向に距離sだけ動かしたとき、「力は物体に仕事をした」と言います。

これだと分かりにくいので簡単に言うと、物体に力を加えて動かしたとき、どれくらいエネルギーを与えたかを物理では「仕事」と呼んでいます。

 

「〇〇のした仕事はどれくらいか」と聞かれたとき、それは「〇〇はどれくらいエネルギーを与えたか」という意味で聞いています。
これは物理の様々な分野に出てくる聞き方であるため、物理も勉強するのであれば「仕事とはエネルギーのこと」ということを絶対に覚えておいた方が良いでしょう。

「仕事した」とは「エネルギーを与えた」ということ

「どれくらいエネルギーを与えたか」を「仕事」と呼ぶので、単位はエネルギーの単位でもある[J](ジュール)を使います。

仕事の定義

私たちはエネルギーという言葉をよく使いますが、物体を1Nの力で1m動かしたときに与えるエネルギーのことを、私たちは1Jと決めています。

 

F=1 s=1 のとき、W=1になるような式、つまり、

$$W=Fs\cosθ$$

が仕事の公式となります。

力と移動する方向は同じ向きである必要があるため、力と移動する方向のなす角をθとして、cosθをかける必要があります。

$$\cos0°=1\\
\cos90°=0\\
\cos180°=-1$$

であるため、同じ方向ならプラス、垂直なら0、逆方向ならマイナスになります。

cosとかよく分からないという人は、同じ方向はプラス・垂直は0、逆方向ならマイナスと覚えておきましょう。

仕事と向き

仕事とはエネルギーを与えるという意味なので、力の向きと移動する向きが同じであれば、エネルギーを与えているので仕事はプラスです。

車のブレーキ等、動いているものを止めようとしているとき、力の向きと移動する向きは逆なのでエネルギーを奪っていることになり、仕事はマイナスになります。

また、横に物体が移動しているとき、重力や垂直抗力など移動する向きと垂直にはたらく力は、物体にエネルギーを与えているわけではないので仕事は0Jになります。
重力や垂直抗力だと仕事が0Jというわけではなく、動く方向と力の方向が垂直であれば仕事が0Jになります。

例えば、物体を持ち上げるとき、重力のする仕事はマイナスになります。(上に移動するが、重力は下向き)

仕事の公式は\(W=Fs\)なので、物体が移動していない場合も仕事は0Jです。

物体を持ち続けたとしても、動いていなければ仕事はしていません。
疲れることと仕事は関係ないので、勘違いしないようにしましょう。

力の向きと同じ向きに進んでいたら、仕事はプラスになる

力の向きと移動した向きが垂直な場合、仕事は0になる

例題

例題1

図のように、一定の力で物体を移動させた。このとき、図に示されている力が物体にした仕事は何Jか。

仕事の例題

解答

「仕事は何Jか」を聞かれた場合、「エネルギーが変化したかどうか」を考えます。
今回の問題のように「力と距離」が登場している場合は、単純に公式を使って計算します。

(1)力の向きと移動する向きが同じの場合、仕事はプラスとなります。(cos0°=1なので、わざわざcosθを使わなくても大丈夫です。)

\begin{eqnarray}
W&=&Fsより\\
W&=&10×5\\
W&=&50
\end{eqnarray}
∴50J

(2)斜めの方向に力がある場合、cosθもかける必要があります。

\begin{eqnarray}
W&=&Fs\cosθより\\
W&=&5×6×\cos30°\\
W&=&30×\frac{\sqrt{3}}{2}\\
W&=&15\sqrt{3}
\end{eqnarray}
∴\(15\sqrt{3}\) J

例題2

質量0.50kgの物体を、手でゆっくりと2.0m持ち上げるとき、次の各問に答えなさい。
(1)手が物体にした仕事は何Jか。
(2)重力が物体にした仕事は何Jか。

解答

図を描くと理解しやすいので、しっかりと図を描きましょう。

仕事_物体をゆっくりと持ち上げる

物体をゆっくりと持ち上げるというのは、加速度が0m/s2という意味です。
ma=Fより、a=0のときF=0なので、持ち上げる力の大きさは重力と同じ大きさになります。

力の大きさが同じなら、力がつりあって動かないのでは?

と思うかもしれませんが、力のつり合いをより正確に説明すると、「力がつりあっているときは加速しない」という意味であるので、「速くもならなければ遅くもならない、つまり動かないor等速」ということになり、力がつりあっているときでも等速で動いている場合があります。

もちろん、静止している場合は力のつり合いを考えます。

「ゆっくりと動かす」という言葉は、計算を簡単にするため少し誤魔化すような表現ですが、今回は重力と同じ大きさで持ち上げていると考えてください。

$$W=Fsより$$

力は重力mgと同じ大きさなので、0.50×9.8となり、

\begin{eqnarray}
W&=&0.50×9.8×2\\
W&=&9.8
\end{eqnarray}
∴9.8J

上に動いている・力は上向きなので、仕事はプラスになります。

(2)物体は上に動きましたが、重力は下向きです。従って、

\begin{eqnarray}
W&=&Fsより\\
W&=&-0.50×9.8×2\\
W&=&-9.8
\end{eqnarray}
∴―9.8J

となります。
もし、物体が下に落ちていた場合、重力のした仕事はプラスになります。

例題3

図のように、物体がなめらかな斜面を下ったとき、物体にはたらく垂直抗力が物体にした仕事は何Jになるか。

仕事となめらかな曲面

解答

仕事と垂直抗力

物体が斜面を下っているとき、物体の位置がどこであっても物体の動く方向と垂直抗力の向きは垂直の関係にあります。

従って、求める仕事は0Jです。
∴0J

まとめ

仕事とは「物体にどれくらいのエネルギーを与えたか」という意味です。
まず第一に、仕事の意味を覚えてください。仕事とはエネルギーです。

公式は
$$W=Fscosθ$$

であり、同じ方向ならプラス、垂直の方向なら仕事は0です。
また、物体をゆっくり持ち上げるときは、動いていますが力がつりあっている状態です。

 

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