・y-xグラフとy-tグラフとは何か
・y-xグラフからy-tグラフにする方法
今までの説明ではy-xグラフのみを使っていましたが、波を表すためにy-tグラフというグラフも使います。
「海の波の高さは何m?」
と聞かれても、「いつ」「どこの」波の高さのことなのか分からないと、答えることができません。
波を表すためには「時間t」「位置x」の2つが必要なので、波を表すグラフも2種類存在しています
今回は、2つのグラフの違いと読み方について、わかりやすく簡単に解説していきます。
y-xグラフとy-tグラフとは何か
ある時間での、yとxの関係を表すグラフ
時間が止まっているため、写真のようなイメージ
ある位置での、yとtの関係を表すグラフ
ある一点がどう動くのかを予想しているようなイメージ
その名の通り、y-xグラフはyとxの関係を表すグラフ、y-tグラフはyとtの関係を表すグラフです。
今までの説明で使っていた図は全てy-xグラフであり、y-xグラフは波の形をそのまま描いたような図となっています。
y-xグラフは写真のようなイメージだ、とよく説明されます。
横軸は変位x[m]なので、波1つ分の長さが波長λ[m]です。
y-xグラフでは、どこがどれくらいの高さなのかは分かるのですが、他の時間での波の高さは分かりません。
波の各点がどちらに移動しているか、分かりますか?
例えば、波が右向きに進んでいるとすると、点P1はy軸負の向きに移動します。
点P1は右上に移動するように見えてしまうかもしれませんが、波が右に移動しているというのは波の形そのものが移動しているということなので、点P1は次の瞬間には下に移動します。(同様に、P3は上に移動していますね)
波の形そのものが右に移動しているというイメージは、このgifアニメを見ると分かりやすいでしょう。
y-xグラフでは、各点がどちらに移動しているかを知るために、1つの図に複数の波を描かなければいけません。
ここで、1つの点にのみ注目し、その1点がどちらに動くのかのみを考えようとしているのがy-tグラフとなります。
y-tグラフは、ある1点がこれからどのように振動するのかを図で表したものです。
横軸は時間t[s]なので、波1つ分の長さが周期T[s]となります。
y-tグラフでは、ある1点がこれからどう動くのかを知ることができますが、他の点がどう動くのかは分かりません。
2つのグラフは横軸が違うだけで同じように見えますが、意味は全然違うのです。
y-xグラフからy-tグラフにする方法
物理基礎でよく出題される、y-xグラフをy-tグラフに変える方法を説明します。
まず、先程と同じようなy-xグラフを考えます。
波が右向きに動いているとき、点P1は下に動くと分かっていますよね。
ある1点がこれからどう動くかを描いたのがy-tグラフであるため、点P1がこれから下に動くように波を描きます。
これでy-tグラフの完成です。
点P2と点P3をy-tグラフにすると上図のようになります。
それぞれの点が、これからどう動くのかをグラフにすると、y-tグラフになります。
点P2は一番上にいるので、一番上から下がるようなグラフ
点P3はこれから上がるようなグラフを描きましょう。
例題
例題1
図のような連続波がx軸の正の向きに進んでいる。次の各問に答えなさい。
(1)媒質の速度が0の位置はどこか。A~Fのうち、当てはまるものを全て答えなさい。
(2)媒質の速度が最大の位置はどこか。A~Fのうち、当てはまるものを全て答えなさい。
(3)媒質の速度がy軸の負の向きに最大の位置はどこか。A~Fのうち、当てはまるものを全て答えなさい。
例題2
下図は、t=0sにおける各点の振動の様子を表したy-xグラフである。波の速さがx軸正の向きに8.0m/sのとき、以下の各問に答えなさい。
(1)この波の振幅・波長・振動数・周期を求めなさい。
(2) x=1.5mにおけるy-tグラフを描きなさい。
まとめ
波を表すためには「位置」と「時間」が必要なため、y-xグラフとy-tグラフの2種類を使い分けます。
y-xグラフは時間が止まっており、今この瞬間の波の形をグラフにしています。
一方、y-tグラフは1点にのみ注目するので、他の点がどうなっているかは分かりません。
y-xグラフからy-tグラフに変えるためには、「その点が、これからどういう風に動くのか」ということをグラフにしましょう。