ネット上で数多く発生する「批判」「炎上」。どこかの企業が変なPVを出せば炎上。つまらない映画・ドラマがあると批判が飛び交いますし、芸能人が問題発言をすればすぐに炎上します。
ネット以外でも、例えば会社には自分の思い通りに物事を動かしたいだけのお局様がいます。若者社員はそのやり方が古臭いと感じ、日々の業務で衝突したり裏でぐちぐち言ったりしていますね。
求めてもないのに勝手にしてくるアドバイス人もたくさんいます。聞いてもないのに急に言ってくるのは一体なぜでしょう。
ネットでも現実でも、右を見ても左を見ても、どこを見てもくだらない言い合いが絶えません。
くだらなく、醜く、どうしようもない言い合いがどうして大量に発生してしまうのか、その背後には、自己顕示欲や他人を支配したいという心理が隠れているのかもしれません。
今回は、人間のくだらない自己顕示欲と自己正当化について語っていこうと思います。
もし、人間社会をもっと優しい目で見たい方がいれば、すぐ読むのを止めてください。無知の方が幸せな場合も多くありますから。
自己正当化の悪魔
とある二人が言い争いをしたとします。
お互いが自分の意見を言い合いますが、意見が通じず、合意形成を得られないまま話が終了してしまいました。
日常生活でよく見る光景ですね。
言い争いを終えた後、両者の愚痴を聞くと二人とも同じようなことを言います。
お互い、「会話が成り立たなかったのは相手の理解力・コミュニケーション能力が低いせいだ。」という理由を話すのです。
あなたの周りにもそんな人はいませんか?
誰かと話が上手くいかなかったとき、「相手の理解力が低いせいで会話が成り立たない」という理由で愚痴を言う人、いますよね。
なぜこのように相手の能力の低さを理由として使ってしまうのかというと、
自分は悪くないと思い込むことで自分の心を守ろうとする性質
を持っているからなんです。
このような、自分は悪くないと思い込むことで自分の心を守ろうとする性質をここでは「自己正当化の悪魔」と呼ぶことにしましょう。
自己正当化の悪魔は私たちの心を支配しています。例えば、職場での会議中にこんなことを言われたらどう感じますか?
一瞬でムッときて、反論したくなりますよね。これは自己正当化の悪魔が私たちを操っているからです。
あなたは「正しいか正しくないか」ではなく、「自分の心が脅かされるかどうか」で物事を判断しています。
ほら、今だって「そんなことない!」と思いましたよね?
理由は単純です。あなたについての指摘をしたからです。
試しに、自分の親や上司に「あなたの方法は間違っています」と言ってみてください。
おそらく「確かに、間違っていたかも」とはならないでしょう。なぜなら、誰しも「自分が正しい」と思い込んでいるからです。
自己正当化の悪魔は現実を歪ませ、人間関係を生贄に捧げる
自己正当化の悪魔は私たちの心を守るために存在しています。しかし、それが原因で他人とのコミュニケーションがうまくいかないことも多くあります。
自己正当化の悪魔は心を守る代わりに認識を歪ませ、人間関係を生贄に捧げてしまうのです。
自己正当化の悪魔に支配されている人は深層心理で傷付くことが怖いと思っています。そのため、自分が間違っているということを素直に受け入れることができません。
例えば、会議で意見が対立した時に、「コミュニケーションが上手く取れなかった理由は相手がコミュ障だから・相手の理解力が足りてなかったからだ」と一方的に思い込んでしまうことがあります。
このような思い込みのせいで、本当の原因に気付くことができません。結果として、現実を正しく認識することができなくなります。
また、自己正当化の悪魔に支配された人と会話をしても面白くありません。彼らは常に自分が正しいと信じており、異なる意見を受け入れようとしないため、コミュニケーションの輪が狭まります。
その結果、自分と似たような意見を持つ人としか関われなくなり、エコーチェンバー効果が生じます。
エコーチェンバー効果により、自分の意見が増強され、他の世界に生きている人との関わりが薄れます。
たとえ関わっているつもりでも、「この人とは話したくないな」と思われている可能性が高くなってしまいます。
つまり、自分の心を保つために人間関係を生贄に捧げているのです。
幸せならばそれでOKなのか?
「幸せならばそれでOK」という考え方があります。自己正当化の悪魔に支配されていようとも、その人が幸せに生活を送っているならそれで良いのではないか、という考え方です。
確かに、一見正しいように思えます。どんな思想に染まっていようとも、その人が幸せに人生を送っているなら問題ないと思うのも当然です。しかし、この意見は一部正しく、一部間違っていると言えます。
例えば、身近な人に迷惑をかけている場合、本人が幸せでもOKではありません。教師としてよく見かけるのがこのパターンです。
・母親が自己正当化の悪魔に支配されていて建設的な会話ができなくて困っている子供。
・正しいことを行おうとしても教師(なぜか氷河期世代半ば、45~55歳の人に多い)が自己正当化の悪魔に支配されていて理不尽に否定されてしまう生徒。
このように、自己正当化の悪魔に支配されている本人は幸せでOKでも、現実を正しく認識できない・自分の正しさを他人に押し付ける独善性のせいで周囲に迷惑をかける場合は本人が幸せでもNGです。
また、私個人の考えですが、「何が正しくて何が正しくないのか、その事実を正しく見たい」と考えているため、認識を歪ませる自己正当化は可能な限り排除したいと思っています。
自己正当化の悪魔に支配されれば頭がお花畑になり幸せハッピー状態になることはできますが、私は幸せになることよりも事実を正確に見ることの方が大切であると考えています。
要は、幸せよりも大事なことがあるという考えもあるのです。
終わりに
人が何か意見を言うとき、何かに反論するとき、体感9割くらいは「自己正当化」です。
なぜなら、自分の生きてきた人生を否定されると心が折れてしまうため、何が何でも自分の人生を否定されないように防衛本能がはたらいてしまうからです。
自己正当化は自分の心を守り、心に安寧をもたらしますが、現実を正しく認識できなくなるという欠点があります。例えば、職場で同僚との意見の食い違いがあった時、自分が正しいと信じるあまり、相手の意見を受け入れられないことがあります。
物事を正しく判断したい場合、「これって自己正当化したいだけなんじゃないか?」という考えを常に持つことが重要です。これにより、現実をより正しく認識することができるのではないでしょうか。
現実の世界でもネット上でも、自己正当化の悪魔に操られている人々が溢れています。例えば、ネットのコメント欄で見かける過剰な反応や、職場での理不尽な指摘などがその典型です。
自己反省と他人の視点を理解する努力を行い、自己正当化の悪魔とどう向き合うかを考えることが、より良い人間関係を築く鍵となるでしょう。