・電力と電力量の違い
・ジュール熱とジュールの法則とは
今まで勉強したエネルギーは力学的エネルギーと熱エネルギーですが、電気にもエネルギーがあります。
むしろ、電気といえばエネルギーのような印象もありますよね。
今回は、電気のエネルギーはどのように計算するのかについて、わかりやすく簡単に解説をしていきます。
電力とは
1秒あたりに消費される電気エネルギー(電力量)
電流が単位時間当たりにする仕事のこと
$$P=VI$$
電力とは、電流が単位時間当たりにする仕事のことであり、簡単にいうと1秒あたりに消費される電気エネルギー(電力量)のことであり、仕事率と同じく記号Pを使います。単位は[W](ワット)です。
電力を求める式は
$$P=VI$$
であり、電圧と電流をかけることで求めます。
日本のコンセントは100Vなので、600Wの電子レンジを動かすとき、電流は6A流れるという計算をします。
オームの法則\(V=RI\)を使うことで、
$$P=VI=RI^2=\frac{V^2}{R}$$
と式変形することができますが、\(P=VI\)だけ覚えておけば大丈夫です。
電力量とは
電流がする仕事のこと
電気のエネルギーのこと
$$W=Pt=VIt$$
電力量とは、電流がする仕事のことであり、簡単にいうと「電気のエネルギーこと」です。
記号は仕事と同じWを使い、エネルギーなので単位は[J]です。
電力量を求めるための公式は
$$W=Pt$$
なので、\(P=VI\)を使うことで、
$$W=VIt$$
とすることもできます。
もちろん、オームの法則\(V=RI\)を使うことで、更に式変形をすることもあります。
電力と電力量の違い
電力と電力量の違いは、仕事率と仕事の違いと同じです。
電力P[W]と電力量W[J]
仕事率P[W]と仕事W[J]
とても似ていますよね。
電力量が電気のエネルギーであり、電力は1秒で消費する電力量です。
1200Wで動くドライヤーは、1秒で1200Jのエネルギーを使います。
電力1200Wに時間をかけることで、実際に使う電力量を求めることができます。
ジュール熱とジュールの法則とは
導体に電流を流したときに発生する熱
$$Q=VIt$$
ジュール熱とは、導体に電流を流したときに発生する熱のことであり、熱量と同じく記号Q[J]を使います。
スマホを使い続けると熱くなるのは、電気のエネルギーが熱エネルギーに変換されるからです。
電気のエネルギーがジュール熱として発生するとき、その量は
$$Q=VIt$$
となり、これをジュールの法則といいます。
電力量の公式と同じなので、覚えるのは簡単ですね。
もちろん、\(Q=Pt\)としても良いです。
例題
例題1
次の各問に答えなさい。
(1)ある導体に100Vの電圧をかけると6.0Aの電流が流れた。この導体の電力は何Wか。
(2)ドライヤーを5分間使用したら3.6×105Jのエネルギーを消費した。このドライヤーの電力は何Wか。
(3)2.5Ωの抵抗に2Aの電流を2分間流した。この抵抗に発生する熱は何Jか。
例題2
100Vの電圧をかけると700Wの電力となるニクロム線がある。このニクロム線を、20℃、2.0kgの水が入っている熱容量の無視できる容器の中に入れ、100Vの電圧を加えて5分間電流を流し続けた。このとき、水の温度は何℃になるか。ただし、水の比熱を4.2J/(g・K)とし、ニクロム線で発生した熱量はすべて水の温度を上げるために使われたとする。
まとめ
電力は「1秒あたりに消費される電力量」でP[W]
電力量は「消費する電気のエネルギー」でW[J]
ジュール熱は「抵抗などの導体で発生する熱」でQ[J]
公式はそれぞれ、
$$P=VI$$
$$W=Pt$$
$$Q=Pt$$
です。
組み合わせることで、\(W=VIt\)、\(Q=VIt\)になりますし、オームの法則\(V=RI\)を使うことで式変形をすることもあります。
PとWは仕事率と仕事と同じ記号を使っているということは、物理の分野でも出てくる内容なので、物理の電磁気の分野を勉強するときに軽く復習した方が良いです。