私たちは暦というものを使い、今日が何年の何月何日なのかを把握しています。
私たちは当たり前のようにカレンダーを使って日付や予定の確認をしますが、皆さんは1年はなぜ12ヵ月・365日なのかをご存知ですか?
1年が400日ではなく365日である理由はなんとなく分かると思うのですが、1年が14ヶ月ではなく12ヶ月である理由を答えられる人は意外と少ないように感じます。
今回は1年が365日であり12ヵ月である理由と、旧暦や新暦などの暦、私たちが使っている太陽暦についての説明をしたいと思います。
1日、1ヵ月、1年の漢字の由来
1日の由来
地球は自転をすることにより、地球から見ると太陽が昇ったり沈んだりします。このような、太陽が昇る周期のことを私たちは「1日」と呼び、漢字の「日」を使っています。
太陽のことをお日様と呼ぶように、「日」は「太陽」を表す漢字なのですが、その由来は様々であり、「火」からヒと呼んでいる説や「霊」や「光」からヒと呼んでいる説など諸説あります。
1日とは太陽の昇る数を数えているので、24時間のことを1日と呼んでいます。
もし、12時間のことを1日と呼んだら、太陽が昇る数は2日に1回となり違和感がありますよね。
1ヵ月の由来
では、1ヵ月はどうして1ヵ月と呼ぶのでしょうか?
これは1日の由来と似た考え方で、月が満ち欠けする期間のことを1ヵ月と呼ぶことになっています。
満月から次の満月になるのに大体4週間くらいなので、約4週間が1ヵ月と決まっています。
1ヵ月とはその名前の通り、月について数えているということですね。
言葉の由来ですが、「月」という言葉は太陽の次に輝いているから「次」から来ているという説と、満月から新月にかけて輝きが「尽き」るからという説等があります。
1年の由来
1日と1ヵ月は太陽と月に関係する呼び方であるので何となく分かりますが、1年はどうして「年」と呼ぶのかは分かりにくいですよね。
実は、「年」は穀物や稲が語源となっています。
「年」はネンと読みますがトシとも呼び、稲が稔る(実ると同義)の「稔」はミノルと読みますがトシとも読むことができます。
稔→トシ→年→ネン
という順に言葉ができたと考えられているのです。
どうして稲が語源となっているのかというと、稲が稔るのは年に1回であったため、稲が稔る周期が1年であり、1年と呼ぶようになったと考えられています。
言葉の由来を知るのもなかなか面白いですね。
1年の正確な日数は何日なのか
1年はなぜ365日なのか 太陽暦とは
現在、私たちは太陽暦(その中でもグレゴリオ暦)というものを使っています。
太陽暦とは「太陽の周りを一周(公転)するのにかかる日数を基準とした暦」のことであり、地球が太陽の周りを1周するのに365日かかるので、1年は365日となっています。
どうして公転周期は365日なのかというと、ケプラーの第三法則より「惑星は太陽からの距離によって公転周期が決まる」ので、太陽から地球までの距離が1億5000万kmであることと、地球の自転のスピードから、1年の時間は365日と決定します。
ただ、地球と太陽との距離が1億5000万kmであること(公転周期が決まっていること)も、地球の自転のスピード(1日の長さ)が決まっていることも、結局のところ偶然なので、1年が365日であることは偶然であると言えるでしょう。
ユリウス暦とグレゴリオ暦
地球が太陽の周りを1周するのに365日かかると言いましたが、これは正確ではありません。
ちょうど365日で1周するのならば閏年は必要ないですよね。閏年が存在しているということは、1年は365日よりも少し長いと考えることができます。
1年が365日よりも少し長いせいで、4年に1度、1日を追加しているのです。
もし閏年が無かったとしたら、たった100年で3週間以上のズレが出てきてしまいますね。
「太陽の周りを一周(公転)するのにかかる日数を基準とした暦」である太陽暦の中でも、ユリウス暦とグレゴリオ暦等の暦が存在しています。
例えば、ユリウス暦では1年を365.25日と定めており、ユリウス暦では4年経つと1日長くなってしまうので、閏日というものが必要となり、4年に1度2月29日が追加されます。
(なぜ2月29日なのかというと、ローマ時代では3月が年の初め・2月が年の終わりであり、その名残とされています)
これで日付のズレを解消できたのであれば問題ないのですが、1年を365.25日にしてもズレが生じてしまいます。
なぜなら、太陽の周りを1周するのにかかる時間は365.242189 日(太陽年)であり、365.25日ではないからです。
この問題を解消するために使われているのが私たちも使っているグレゴリオ暦であり、グレゴリオ暦では1年を365.2425日としています。
グレゴリオ暦では400年に97回、2月29日が追加されます。(4年に1度うるう年があるが、100年に1度はうるう年は必要なく、400年に1度はうるう年が必要)
これにより、1年のズレはほぼ解消されることになりました。(2000年くらい経てば1日のズレが生じるかもしれませんが…)
グレゴリオ暦が現在日本で使われている暦であり、いわゆる新暦というものです。
1年の正確な日数は何日なのか?
ユリウス暦では1年=365.25日、グレゴリオ暦では1年=365.2425日としていますが、1年の正確な日数は一体何日なのでしょうか。
先程、太陽の周りを1周するのにかかる時間は365.242189 日(太陽年)という説明をしましたが、これも正確な日数ではなく、約365.242189 日という表現を使うしかありません。
実は、地球が太陽の周りを1周するのにかかる時間は一定ではなく、その年によって長さが変化しているのです。
太陽系には太陽と地球以外にも様々な惑星があり、様々な惑星の引力により公転周期が微妙に変化してしまうということですね。
従って、1年の正確な日数というものは存在しません。
強いて言うなら、約365.242189 日と言うのが正しいでしょう。
1年はなぜ12ヶ月なのか
1年はなぜ12ヶ月なのか
次に、1年がなぜ12ヶ月なのかについて説明をします。
実は1年が12ヵ月ある理由はとても単純で、1年が12ヶ月なのは、1年に満月が現れる回数が約12回だからという理由です。
夜、空を見上げたとき
「今日は満月だな~」
と思うことがありますが、それが年に12回あるということです。
12ヶ「月」という名前も納得ですよね。
なぜ月は1年で12回満月になるのかというと、これも結局のところ偶然です。
たまたま12回満月になるような大きさ、速さ、距離であったということです。
月や地球の大きさや、地球と月の距離、月の速さが違っていれば満月の回数が変わっていたことでしょう。
太陰暦とは何か 太陽歴との違いは?
太陽暦とは別の考え方として太陰暦という暦の考えがあります。
太陰とは月のことであり、太陰暦とは簡単に言うと「満月の回数で1ヵ月や1年を決めよう」という考え方です。
ややこしいことに、太陰暦は純粋太陰暦と太陰太陽暦の2種類存在しており、考え方が若干異なります。
純粋太陰暦とは
満月から次の満月になるまでにかかる日数は約29.5日です。
1年を12ヶ月とするとき、1年(1太陰年)=29.5×12=354日となり、1太陽年(365日のこと)と11日もズレてしまいます。
このとき、閏年や閏月を全く設けないのが純粋太陰暦であり、3年で1ヵ月分の季節が変わってしまいます。
つまり、同じ8月といっても、年によって夏だったり冬だったりすることもあり得るということです。主にイスラム教社会でしか使われていない考え方(ビジュラ太陰暦)であったため、同じ月なのに季節が違うかもしれないというのは不思議な感覚ですよね。
太陰太陽暦とは
先ほど説明したように、太陰暦では1年に約11日のズレが生じてしまいます。3年で約33日ものズレです。
純粋太陰暦では閏年や閏月のような日数調整を行わないとのことでしたが、太陰太陽暦では何年かに1度、閏月として1ヵ月増やすことにより季節が変わらないように調節します。
なお、日本の太陰太陽暦では、追加された月は13月とは呼ばず、7月の後に追加された場合は「うるう7月」、11月の後に追加された場合は「うるう11月」と呼びます。
日本では様々な太陰太陽暦が使われてきましたが、天保暦という暦が最後に使われた(西暦1844年~1872年)ので、この天保暦という太陰太陽暦のことを旧暦と呼んでいます。
これらの理由から、1年は12ヶ月365日と決まっており、それに合わせて様々な暦があるのですね。
以上で、1年が12ヵ月・365日である理由と、新暦や旧暦などの暦についての説明とさせていただきます。