力のつり合いとは

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この記事で学べる内容

力のつり合いとは

3つ以上の力がある場合の力のつり合い

力がないと物体は動き出しません。
しかし、力がないから止まっているとも限りません。

物体が静止しているとき、力のつり合いというものを必ず考えます。

今回は、力のつり合いとは何かについて、わかりやすく簡単に解説します。

力のつり合いとは

力のつり合い

物体にはたらいている全ての合力=0 の状態。

右向きの合力=左向きの合力

上向きの合力=下向きの合力

力のつり合いとは、物体にはたらいている全ての合力=0である状態のことです。

力があると物体は動きますが、動かない物体には力がないというわけではありません。

力のつり合いとは

例えば、床に置いてある物体を考えましょう。
この物体には重力mgと垂直抗力Nの2つの力がはたらいています。

このとき、重力mgの大きさと垂直抗力Nの大きさが等しいと物体は静止したままになり、このような状態を力のつり合いといいます。

物体が静止しているときは、物体に力がはたらいていないか、力がつり合っているのかのどちらかなのですが、
物体が静止しているときは、必ず力のつり合いについて考えます!

3力以上のつり合い

力が3つ以上ある場合でも、物体が静止しているときは力のつり合いを考えます。

もし斜めの方向の力があった場合は、上下左右に分解しましょう!

力のつり合い_斜め_複数

例えば、静止している物体にF~Fの4つの力がはたらいているとします。
物体が静止しているということは、力がつりあっているということであり、

\begin{cases}
右向きの合力=左向きの合力\\
上向きの合力=下向きの合力
\end{cases}
となっているはずです。

しかし、斜めの力がある場合は、まず斜めの力を分解してから力のつり合いを考えます。

図の赤い矢印のように力を分解し、

\begin{cases}
F_x=F_4\\
F_2+F_y=F_1
\end{cases}

と式を作ります。
このように、物体が静止しているときは必ず力のつり合いの式を立てるようにしましょう。

例題

例題1

バネでつり下げられ静止している5.0kgの物体について、以下の問に答えよ。ただし、重力加速度の大きさは9.8m/s2とする。
(1)物体にはたらく重力の大きさは何Nか。
(2)物体をつり下げる前と比べてバネは0.10m伸びた。バネ定数は何N/mか。

力のつり合いバネ例題

解答

物体の重力はmg、バネの弾性力はkxであることを思い出しましょう。

まずは力を図示し、物体が静止しているということは、下向きの力=上向きの力であることを利用します。

(1)重力mgより

$$mg=5×9.8\\
mg=49N$$

∴49N

(2)力のつり合いより 下向きの力=上向きの力であるので

$$mg=kx$$

mgは(1)の答えを使い、

$$49=k×0.10\\
k=490$$

∴490N/m

例題2

水平とのなす角が30°のなめらかな(摩擦のない)斜面上で、バネ定数196N/mの軽いバネの一端を斜面上端の壁に固定して、他端に質量2.0kgの物体をつけると、バネが伸びて物体が静止した。バネは何m伸びたか。重力加速度の大きさを9.8m/s2とする。

力のつり合いバネ坂例題

解答

力のつり合いを考えるときは全ての力を図示します。今回は重力、垂直抗力、弾性力の3つの力があります。

力のつり合い例題解答

斜めの力を上下左右に分解と言いましたが、斜面上にある物体は、重力を斜面方向に分解しましょう。

三角比を考えると、斜面方向がsin30°、斜面に垂直な方向がcos30°になります。物理基礎の中でも特に良く出題される内容なので必ず理解しましょう。

力のつり合いsincos

重力は斜面から見ると斜めに見えるので、分かりやすくするために力の分解をします。

重力を対角線とした長方形を作るように2つの力を描きます。そうすると、重力のcos方向と垂直抗力が等しく、重力のsin方向と弾性力が等しいことが分かります。

\begin{cases}
mg×\cos30°=N\\
mg×\sin30°=kx
\end{cases}

という式が成り立つと力のつり合いから分かります。今回はバネの長さが分かればいいので2つ目の式だけを使います。

$$mg×\sin30°=kx\\
2×9.8×\frac{1}{2}=196×x\\
x=0.05$$

∴0.05m

例題3

4kgの物体が糸に繋がれ静止している。このとき、糸Aから物体にはたらく張力Aと。糸Bから物体にはたらく張力Bを求めなさい。

力のつり合い糸張力例題

解答

まずは物体にはたらいている力を全て図示しましょう。

糸がある方向に張力Tを、物体から真下に重力mgを描きます。

力のつり合い糸張力例題解答3

このとき、斜め向きの力は分解します。
sinやcosを習っているのであれば、sinとcosを使いましょう。
もし習っていないのであれば、三角形の比から計算をします。

分解したあとは、力のつり合いより

\begin{cases}
T_A \sin 30°=mg\\
T_A\cos30°=T_B
\end{cases}

のように、2つの式を作ります。
もちろん、上=下、左=右の力です。

$$T_A \sin 30°=mg\\
T_A ×\frac{1}{2}=4×9.8\\
T_A=19.6$$

$$T_A\cos30°=T_B\\
19.6×\frac{\sqrt{3}}{2}=T_B\\
T_B=9.8\sqrt{3}$$

(TAを先に求め、代入しています)

∴\(T_A=19.6\) N
\(T_B=9.8\sqrt{3}\) N

まとめ

力のつり合いとは「物体にはたらいている全ての合力=0」のことです。

物体が静止しているときは、力のつり合いを使うのだろうなと必ず疑いましょう。

力が斜めの方向にある場合は上下左右に分解してから考えます。

しかし、斜面に物体が置かれている場合は、斜面の方向に分解した方が簡単に問題を解くことができます。

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