・仕事と熱の関係とは
・ジュールの実験とは
手が冷たいとき、手をこすり合わせることで少しだけ手が温かくなりますよね。
寒いときに摩擦熱を利用して身体を温めるということは、誰もが経験していると思います。
手をこすることで運動エネルギーが摩擦熱に変わり手が温かくなる、このような「力学的エネルギーが熱に変わる」ということも、物理基礎の範囲になっています。
今回は、仕事と熱の関係とジュールの実験についてわかりやすく簡単に解説をしていきます。
ジュールの実験とは
力学的エネルギーを熱に変える実験。
おもりが落下することで羽根車を回転させ、水温がどれくらい上昇するのかを調べた。
ジュールの実験とは、力学的エネルギーを熱に変える実験です。
もちろん、この実験をした人はジュールという人で、単位の[J]にもなっている人ですね。
図のように、左右のおもりを上下させることにより、位置エネルギーを使って羽根車を回転させ、羽根車の運動エネルギーが熱となり、水温が上昇します。
この実験は、熱がエネルギーの一種であることの根拠となりました。
仕事Wの単位は[J]、エネルギーの単位も[J]、熱量Qの単位も[J]であることから分かるように、熱量Qはエネルギーの一種なのです。
なお、この装置じゃないと水温が上昇しないというわけではなく、このような実験をしましたよという内容です。
ちなみに、ペットボトルを振り続けると中に入っている水の温度が上昇するのも、力学的エネルギーが熱に変換されているのと同じです。
粗い面を滑る物体が摩擦力によって止まるとき、奪われた運動エネルギーは摩擦熱となってしまいます。
このとき、物体が失った運動エネルギーと、発生した摩擦熱は同じ大きさになります。
エネルギーは形を変えても保存しているということですね。
例題
例題1
2つのおもりを同時にゆっくりと落下させると、容器内の羽根車が回転し、水の温度が上昇する。2つのおもりを1.0m落下させる動作を50回繰り返した。おもり1つの質量を10kg、水の質量を1.0kgとしたとき、水の温度は何K上昇するか有効数字2桁で答えなさい。ただし、重力加速度の大きさを9.8m/s2、水の比熱を4.2J/(g・K)とする。
例題2
粗い水平面上に質量2.0kgの鉄製の物体を置き、初速度9.0m/sで動かした。この物体が静止したとき、失った運動エネルギーの半分が物体の温度上昇に使われたとすると、この物体の温度は何K上昇するか。ただし、鉄の比熱を0.45J/(g・K)とする。
まとめ
熱はエネルギーの一種です。
ジュールの実験などにより、仕事Wを熱量Qに変換することができます。
仕事といってもW=Fsではなく、力学的エネルギーの
$$mgh$$
$$\frac{1}{2}mv^2$$
をよく使います。
このとき、質量mの単位がどうなっているのかには注意しておきましょう。