・電流とは
・I=enSvの導出
・電流の向きと自由電子の流れる向きについて
スマホやPC、電気製品など、世の中の色々な物に電気が流れており、現代の日本では電気無しの生活は考えられません。
電圧・電流・抵抗という言葉をどこかで聞いたことがあるはずです。
今回は、電流とは何かについて、わかりやすく簡単に解説をしていきます。
電流とは
電気が流れること、電荷が移動すること
電流の強さI[A]は、1秒あたりに流れる電気量の大きさと決められている
$$I=\frac{Q}{t}$$
電流とは、電気が流れることであり、電荷が移動することをいいます。電流=電気が流れる=電荷が移動、という意味です。
電流の強さのことを記号Iで表し、単位は[A](アンペア)を使います。
なぜ電流の強さのことをIで表すのかというと、電流は英語でElectric Currentなのですが、 Iは「電流」ではなく「電流の強さ」なので、Intensity of Electric Currentの頭文字であるIを使います。
しかし、いちいち電流の強さと言うのも面倒なため、物理の説明をする際には「電流の強さI」ではなく「電流I」と書くことが多いです。
電流の強さは1秒あたりに流れる電気量の大きさであるため、
$$I=\frac{Q}{t}$$
という式で表すことができます。
あまり使うことのない式なのですが、忘れた頃に登場することがある式でもあるので、なんとなく覚えておきたいところです。
電流の向きと自由電子が流れる向きの違い
電流の向きと自由電子が流れる向きは反対である
・電流は正の電荷が流れる向き
・自由電子は負の電荷が流れる向き
電流の向きと自由電子が流れる向きの違いは、流れる向きが逆向きであるという点です。
電流は正の電荷の流れを表しているため、電池の正極から出るような向きに流れるのですが、自由電子が流れる向きは負極から出るような向きとなっています。
電子が発見されたのは19世紀末であり、導線を移動しているのは正電荷ではなく電子であったことが判明するのもこの時期です。
電子が発見される前に、電流は正電荷の流れる方向であると決めてしまったため、2つの方向は逆向きになってしまいました。
文明を作り直すときにやることのリストに「電荷の正負を逆にする」を追加しておきましょう。
I=enSvについて
$$I=enSv$$
(e:電気素量[C] n:単位体積あたりの自由電子の個数[個/m3] S:断面積[m2] v:自由電子の速さ[m/s])
覚え方
後ろから読んだら「ブスね」
電流を表す式として\(I=enSv\)という式があります。後ろから読むと「ブスね」と読めるため、電流はブスねって覚えると楽です。
断面積\(S\)[m2]の導線を考えます。
電気素量\(e\)[C]の電子が単位体積あたり\(n\)個あり、速さ\(v\)[m/s]で移動しているとします。自由電子は\(t\)秒間で\(vt\)[m]進むため、\(t\)秒間で断面\(S\)を通過する自由電子の数は、体積×個数で\(Svt×n\)個となります。
1個あたりの電気量が電気素量eであるため、\(t\)秒間で断面\(S\)を通過する電気量Qは\(nSvt×e\)[C]となり、\(I=\frac{Q}{t}\)より、
$$ I=\frac{Q}{t}\\
I=\frac{enSvt}{t}\\
I=enSv$$
となります。
このような、電流を電気の流れという大きな視点ではなく、電子の動きという細かな視点から見るような考えは、物理基礎よりも物理の方で詳しく扱います。
例題
例題1
ある導線に2.1Aの電流を4.0s間流した。導線の断面を通過した電気量の大きさは何Cか。
例題2
断面積2.5×10-6m2の導線に2.4Aの電流が流れている。導線の中にある自由電子の密度が6.0×1028個/m3であるとき、導線の中を移動する自由電子の速さは何m/sか。ただし、電気素量を1.6×10-19Cとする。
まとめ
電流とは電気が流れることをいいます。
電流の強さはI[A]で表し、1秒あたりに流れる電気量であるため、\(I=\frac{Q}{t}\)という式で表します。
また、\(I=enSv\)という式でも表すことができます。
大きな視点で見るときは\(I=\frac{Q}{t}\)、細かい視点で見るときは\(I=enSv\)です。
どちらの式もあまり使うことはないのですが、たまに出題される内容であるため、無視せず覚える必要があるでしょう。「電流はブスね」です。