・二乗平均速度とは
気体分子運動の式を変形することで、分子の二乗平均速度というものを求めることができます。
二乗平均速度は頻出ではないため、余裕のある人だけ覚えておくと良いでしょう。
二乗平均速度とは
$$\sqrt{\overline{v^2}}=\sqrt{\frac{3RT}{M×10^{-3}}}$$
(M:分子量[g])
\(\sqrt{\overline{v^2}}\)のこと
二乗平均速度とは、\(\sqrt{\overline{v^2}}\)のことです。
速度の二乗の平均を平方根の中に入れています。「それってただの速度じゃないの?平均の速度とは違うの?」と思うかもしれませんが、普通の平均の速度とは意味が異なります。
気体分子運動の結論は\(\frac{1}{2}m\overline{v^2}=\frac{3}{2}kT\)でした。
この式をさらに変形してみましょう。
$$\frac{1}{2}m\overline{v^2}=\frac{3}{2}kT\\
\frac{1}{2}m\overline{v^2}=\frac{3}{2}\frac{R}{N_A}T\\
m\overline{v^2}=\frac{3R}{N_A}T\\
\overline{v^2}=\frac{3R}{mN_A}T\\
\sqrt{\overline{v^2}}=\sqrt{\frac{3R}{mN_A}}T$$
となります。
質量mの分子がNA個集まったとき分子量になると考えることができるため、分子量をM[g]とすると、
$$\sqrt{\overline{v^2}}=\sqrt{\frac{3R}{mN_A}}T\\
\sqrt{\overline{v^2}}=\sqrt{\frac{3R}{M×10^{-3}}}T$$
となります。これが二乗平均速度です。
分子量の単位が[g]であり、[kg]にするために10-3をかける必要があることには気を付けましょう。
分子量 | 273Kでの二乗平均速度[m/s] | |
水素 H2 | 2 | 1.8×103 |
ヘリウム He | 4 | 1.3×103 |
窒素 N2 | 28 | 0.49×103 |
酸素 O2 | 32 | 0.46×103 |
二酸化炭素 CO2 | 44 | 0.39×103 |
\(\sqrt{\overline{v^2}}=\sqrt{\frac{3RT}{M×10^{-3}}}\)に分子量と絶対温度を代入することで、分子の二乗平均速度を求めることができます。
分子量が大きければ大きいほど、二乗平均速度は小さくなります。