「今夜は絶対に負けられない試合だから早めに帰宅して応援するんだ!!」
人生は選択の連続ですが、自分の選択で人生の全てが決まると思いますか?
今夜食べるものを決める、明日は休む等、自分である程度コントロールできるものもありますが、中には自分ではコントロールできない物事も存在しています。
例えば、明日の天気がどうなるかは自分ではコントロールできない内容ですね。
好きなスポーツの試合をテレビで観戦するとき、「試合をしっかり応援しなかったから負けちゃった」と心のどこかで信じている人は少なくないでしょう。
今回は、コントロールの錯覚とは何かについて解説をしたいと思います。
運を変えることができると勘違いしてしまう
人生ゲームで後6が出れば一番目にゴールできるとき、
「6出ろ…6出ろ…6出ろ…6出ろ…」
と祈りながらルーレットを回してしまうのではないでしょうか。
ルーレットの目が何の数字になるかは完全に運なのですが、自分の気持ちが運を変えることができるのだと心のどこかで思っている証拠です。
ジャンケンの前に謎のおまじないをするのも同じですね、運を気持ちで変えることができると考えてしまっているのです。
ハーバード大学の社会心理学者のエレン・ランガーが面白い実験を行っています。
当たれば50ドルの宝くじを用意し、1ドルで売ります。
このとき、半分の人には「自分で宝くじの番号を選んでもらい」、もう半分の人には「既に番号が選ばれた宝くじ」を渡しました。
そして宝くじの抽選日の朝、「宝くじを買い戻したい、いくらなら手持ちの宝くじを売ってくれるか。」と尋ねました。
すると、既に番号が選ばれた宝くじを貰った人は、平均1.96ドル。
自分で宝くじの番号を選んた人は、平均8.16ドル。
と答えたのです。
宝くじが当たるかどうかは運です。誰が数字を選んだのかは関係ありません。
しかし、「自分で番号を選んだ宝くじは当たる気がするから価値が高い」と人は考えるのです。
このように、本当は運しか関係ないのにも関わらず、自分が選択することで運が変わるような気がすると考えてしまうことを、コントロールの錯覚といいます。
私たちは、関連のない出来事を関連しているかのように勘違いしてしまいがちなので、コントロールの錯覚が起きてしまうのでしょう。
人に何か仕事をさせたいとき、「この仕事やっておいて」と言うより、「AとBの2つの仕事があるんだけど、どっちやりたい?」と持ち掛け、自分で選ばせることで”価値のある仕事である”と思わせることが可能です。
レストランでメニューを見て選んだ料理は、どれも自分が選んだものなので美味しく感じるのかもしれませんね。
参考
コントロールの錯覚の存在を知ったのはこの本がきっかけでした。
合計100個の心理学について紹介されている面白い本です。
ぜひ参考にしてみてください。