「確率は収束する」
間違いなく確率は収束します。
しかし、「確率は収束する」を勘違いして理解している人があまりにも多いです。
一体なぜ勘違いしてしまう人が多いのでしょうか。
今回は、「確率は収束する」の意味と典型例な誤用について解説していきます。
「確率は収束する」誤用の典型例
例1
コインを10回連続投げたら全部表だった
確率は収束するので!
例2
パチンコで負けが続いた
確率は収束するので!
例3
ポケモンで連続で急所に当たった
確率は収束するので!
誤用の原因その①「代数の法則」を中途半端に知っている
「確率は収束する」を誤用する原因は2つの勘違いから来ています。
1つ目の原因は、代数の法則をなんとなーく知っているせいです。
まずは代数の法則について説明します。
代数の法則とは
代数の法則を簡単に説明すると
回数を増やせば増やすほど、ある事柄の発生する割合は一定の数値に近づく
という法則です。
もーっと簡単に説明すると
コインを投げ続けると、表の出る割合は\(\frac{1}{2}\)に近づく
サイコロを投げ続けると、1の出る割合は\(\frac{1}{6}\)に近づく
という内容になります。
コインを10回投げたとき、表の出た割合は50%から遠いかもしれません。
しかし、コインを1万回も投げれば表が出た割合は50%に非常に近くなっているのです。
これが「代数の法則」です。
「代数の法則」を間違って理解してしまう
代数の法則を「表が100回出たってことは裏も100回出るんだ!」と勘違いしてしまう人が非常に多い。本当に多い。
最大の勘違いを指摘します。
表と裏の出る割合が50%になるということは、表と裏の出る回数が同じになるわけではない。
たくさんコインを投げることで分母が大きくなり、割合が50%に近づくだけだ。
内容を理解できれば解決です!
さて、具体的に考えるためにコインを1万回投げてみました。
コインを投げた回数 | 表の数 | 表の出た割合 | 表と裏の出た回数の差 |
100回 | 45回 | 45.00% | 10回 |
1000回 | 489回 | 48.90% | 22回 |
10000回 | 4984回 | 49.84% | 32回 |
コインを100回投げたときと10000回投げたときで表と裏の出た回数の差は広がっていますが、割合は50%に近づいています。
「確率は収束する」とは「表と裏の出る回数が同じになる」のではなく、「投げた回数が多くなるせいで割合にすると50%に近づく」という意味であり、表がたくさん出たから次は裏が出るだろ~という意味ではないのです。
ついでなのでグラフも用意しました。
これが「確率は収束する」という具体例ですね。
「確率を収束させる」ためには確率母数の数百倍の試行回数が必要
そもそも、確率を収束させるためには確率分母の数百倍の試行回数が必要です。
500倍必要だとしても
コインで表の出る確率 \(\frac{1}{2}\)の500倍
→1000回
サイコロで1の出る確率 \(\frac{1}{6}\)の500倍
→3000回
ポケモンで急所に当たる確率 \(\frac{1}{24}\)の500倍
→12000回
は必要です。
まぁ大体300倍もあれば十分ですね。
日常生活におけるほとんどの場合、確率が収束するほどの試行回数に達することはまずないので、日常生活で確率が収束するようなことはほぼ何もありません。
誤用の原因その② 確率が独立していることを理解できていない
コインを投げて表の出る確率は\(\frac{1}{2}\)です。
当たり前のことを言っていますが、「表が連続して出てるしそろそろ裏も出るだろ~」と言っている人は、裏の出る確率が\(\frac{1}{2}\)よりも多いと心のどこかで思っているのではないでしょうか。
確率では、「前行った結果が次に影響しない」ことを独立と言います。
「コインで表が出たから次は裏が出る確率が高くなる」は、「コインで表が出たから次はサイコロで6が出やすくなる」と同じくらいキモいです。
ガシャポンのような場合は、外れを引くことで母数が少なくなるので次に当たりやすくなり、独立していないと言えますね。
表が9回連続で出た後に裏が出る確率も\(\frac{1}{1024}\)!w
まとめ
「確率は収束する」は
・回数が同じになるのではなく、母数が増えて割合が一定の値に近づくだけ
・そもそも試行回数がたくさん必要、日常生活ではまず見ないと言っても良い
また、
・確率が独立している場合、前の結果は次の結果に影響は与えない
これらのことを理解して、「確率は収束する」を正しく使えるようになると良いですね!
以上です。