『恐れのない組織』から学ぶ心理的安全性、組織に最も必要なもの

恐れのない組織
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こんにちは!かいしーです!

かいしー読書部では、私が読んだ本を紹介していきます!

ぷち教養主義の名前に恥じないよう「教養になりそうな本」を私の独断と偏見と好みで選んで紹介していきます!

今回紹介するのは、『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』です!

組織運営関連のニュース、書籍、動画を見ると結構な割合で「心理的安全性」という言葉を見かけるんですよ。

心理的安全性って言葉・考え方を生み出した方の著書だということで、これは読まないと教師として成長できないと思いまして、手に取りました。

心理的安全性について知れて良かった。ただそれだけ。

心理的安全性については色んなサイトや動画で紹介されているのですが、きちんと正しい理解をするためには著書を読むのが王道だろうと思うので、心理的安全性について知りたい方にオススメの一冊です。

今回は、『恐れのない組織』について紹介し、感想を述べたいと思います。

『恐れのない組織』|要約・著者紹介

要約

Googleの研究で注目を集める心理的安全性。
このコンセプトの生みの親であるハーバード大教授が、 ピクサー、フォルクスワーゲン、福島原発など様々な事例を分析し、 対人関係の不安がいかに組織を蝕むか、 そして、それを乗り越えた組織のあり方を描く

以前は、労働者が労働部隊となり「唯一最善の方法」を行うだけの仕事が行われていました。要は、会話が一切なくても大丈夫なような仕事です。

しかし、現代では知恵を出し合い協力して問題を解決する必要のある仕事が増えてきています。

共通の目的を達成すするため、協力するために必要なこと。メンバーがお互い協力し話し合うために重要なのが「心理的安全性」だ。

「心理的安全性」がいかに現代の知識協力型、創造性や生産性に影響を与えているのかについて重要性を説く。

という内容。

とにかく、心理的安全性の重要性と効果について説明してる本という感じです。

とにかく、「心理的安全性」が大事!

心理的安全性

みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化

「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうか

著者紹介

エイミー・C・エドモンドソン Amy C. Edmondson
ハーバード・ビジネススクール教授。リーダーシップ、チーム、組織学習の研究と教育に従事し、2011年以来、経営思想家ランキング「Thinkers50」に選出され続けている。彼女の論文は、Harvard Business Review、California Management Review、Administrative Science Quarterly、Academy of Management Journalなどに掲載されている。『チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』(英治出版)の著者でもある。

(ブックカバーより)

TED talkにも出演していますね。

『恐れのない組織』を読もうと思ったきっかけ

冒頭にも書いたように、組織運営関連のニュース、書籍、動画を見ると結構な割合で「心理的安全性」という言葉を見かけるんですよ。

本当に色んなニュースやサイトでよく見かけるんです。フィルターバブルかもしれませんが。

心理的安全性の影響は本当に大きく、論文の引用数も物凄く多いですし、日本でも心理的安全性アワードなるものが行われているくらいには影響が大きいです。

企業経営などで今、自分の思いや考えを安心して言える「心理的安全性」に注目が集まっている。それは学校も同じだ。さいたま市立大砂土東小学校(武田泰之校長、児童1122人)の天野翔太教諭は、数年前から心理的安全性を意識した学級づくりを実践し、優れた心理的安全性の構築事例を表彰する「心理的安全性AWARD2023」(㈱ZENTech主催)で、小学校の学級経営では初めてとなるシルバーリングに輝いた。

https://www.kyobun.co.jp/article/20230726-06

さいたま市立大砂土東小学校のとある学級がシルバーリングになったと聞いたときは、同業者としてビックリしました。

まぁ考えることは同じというか、心理的安全性を知ったらクラスで導入しようと考えるのは教師として自然な考え方だと思います。

ただ、心理的安全性AWARD2023に申し込んで選ばれるのは素直に凄くて尊敬。クラスの子も喜んでるんだろうなぁ。

心理的安全性について知れば知るほど、全組織の全ての偉い人に知って欲しいと感じます。

心理的安全性が組織の良さに直結していて、心理的安全性を知らないまま今の社会を生きるなんて考えられない!

じゃあ、きちんと心理的安全性について学ぼうじゃないか!

ということで、心理的安全性の生みの親であるエイミー・C・エドモンドソン氏の『恐れのない組織』を読もうと思ったわけです。

他の方が心理的安全性について色んな本を出しているので、きっと他の心理的安全性についての本もこれから読むんだと思います。

『恐れのない組織』から学んだことと実用性

心理的安全性とは

『恐れのない組織』から学んだことは、とにかく心理的安全性についてです!

みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化

(『恐れのない組織』より)

「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうか

Google re:Workより)

心理的安全性を簡単に言うと、「みんなが気兼ねなく 意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」のことです。

例えば怒りっぽい上司がいて、「これ素直に報告したら怒られるかもなぁ…」と考えてしまう環境は、心理的安全性が欠けてると言えます。

あのGoogleですら自身のサイトで心理的安全性が非常に大事であると訴えています。Google re:Work

というのも、Googleは4年にわたり「生産性の高いチームの条件」を探る生産性改革プロジェクト、通称プロジェクト・アリストテレスを行い、このプロジェクトの結果、生産性の高いチームの最大の条件は「心理的安全性」であることを見つけました。

あなたの意見は職場(チーム)で価値を持っていると言えますか?

 この問いに対して「はい!」と言えるような組織が「心理的安全性のある組織」であり、そのような組織は生産性や創造性などが高くなるという色々な証拠がありますということを知りました。

があるかどうか測るものさしです。ぶっちゃけ今の自分の職場にはあるとはあんまり感じないですね。頑固な人、排他的な考えの人が多いと心理的安全性は低くなるのかなって思います。

組織、グループで連携を上手く取るためには「率直に意見を言える環境」が非常に大切だということは、誰しもが直感的に理解できているんじゃないでしょうか?
自分じゃ気が付かなかったことを他の人が気付いてくれたことってありませんか?
色んな人の色んな率直な意見があるからこそ、より良い結果が生まれるんですよね。
心理的安全性があることによって率直に意見を言える、色んなことに気が付けるようになるってことなんです。
だからこそ、その当たり前の感覚をこれでもかと実証し続けている「心理的安全性に関する様々な実験や事例」が素晴らしいんでしょうね。

実用性は?信頼性は?

『恐れのない組織』には様々な事例が登場しますが、どの例でも共通して注目しているのが「素直に意見を言える環境かどうか」という点です。

多くの組織に共通して言えるという点で実用的、様々な研究が有効性を実証しているという点で信頼性も高いと思われます。

特に、Googleがプロジェクト・アリストテレスで心理的安全性が大事だと見つけたこと、Microsoftの「クラウド スキル チャレンジ」にも心理的安全性について言及されていること、Netflix社も「率直に意見を言えること」を大事にしていること、他にも多くの企業が心理的安全性を大事だと主張していることも、実用性・信頼性共に高いと思わせます。

もちろん、大企業が言ってるから正しいというわけではありません。

Google Scholarで「心理的安全性」もしくは「psychological safety」で好きなだけ調べてください。心理的安全性が重大ではないと信じられる要素はあまりにもすくないです。

心理的安全性が重大だということは疑いようがない!

例えば、グループ内で何か違和感・小さなミスに気が付いたとき、その意見を素直に言えますか?

心理的安全性が低いと、「言うべき内容が重大なことだと分かっていたとしても発言を避ける」ようになります。

発言ができなくなる理由は、「悪い印象を与えたくないから」です。

医療のチーム例を考えましょう。

貴方は看護師で、とある医者と一緒に双子の赤ちゃんを担当しています。

双子の赤ちゃんは妊娠27週目での出産であったため、ハイリスク児と考えられます。

看護師である貴方はあることに気がつきます。

「ハイリスク児には肺の発達を促す薬を投与することが必要なのでは?」

しかし、医者は肺の薬を投与しようとしません。

貴方は医者に、「肺の薬を投与しないんですか?」と言おうとしました。

しかし、先週、医者の指示に疑問を持った他の看護師がその医者に怒鳴られたのを見ていたため、発言するのを止めました。

『恐れのない組織』でも紹介されている事例ですね。

論理的に考えて、

発言する→本来は投与すべきだったことに気がついた→問題を回避できた
発言する→今回は投与しなくて良いパターンだと分かった→時間以外の損は無い

発言しない→本来は投与すべきだったことに気が付かなかった→大問題
発言しない→実は今回は投与しなくても良いパターンだった→問題なし

発言することによるデメリットは本来なく、発言しないことによるデメリットの方がはるかに大きいです。

自由に発言できれば問題を未然に防げたかもしれない、しかし、自由に発言できないことによって「問題が起きているかの確認をする機会を失った」ことになります。

どう見ても発言した方がいいですよね。

しかし、お医者さんの性格に問題があったり(怒りっぽい、裏で悪口を言う)、発言することにリスクがあったり(発言内容が間違ってたら減給とか)する場合、赤ちゃんの安全よりも自分の安全を優先してしまい、発言ができなくなってしまいます。

このような状態に心当たりはありませんか?あなたの周りは心理的安全性がありますか?

心理的安全性の重大さと実用性について理解はできたのではないかと思います。

もちろん、どんなにリスクがあろうと(裏で悪口を言われても気にしない、言い合いになってもいい)ガンガン発言できる人ならば問題は無いのかもしれません。

しかし、多くの組織にいる多くの人は心理的安全性を心のどこかで自然と気にしていますし、職場の人間関係を気にするのは人として自然な状態です。

だからといって、優しくてぬるい環境にしろというわけではないです。

心理的安全性と仲の良さ・感じの良さは違います。

会議では礼儀正しく荒波立てずに議論を行ってたとしても、会議が終わった後に廊下やトイレで愚痴や陰口を言い合うような関係は心理的安全性があるとは言えません。

心理的安全性とは問題を起こさず会話できるかどうかではなく、率直に意見を言うこと、建設的に反対意見を述べたり意見交換をすることなのです。

心理的安全性を作るには?

じゃあ、どのようにして心理的安全性を確保すればよいのでしょう。

その方法は『恐れのない組織』にも記載されていますが、Google re:Workのページを参考にするのも良いと思います。

備忘録として、心理的安全性の作り方のまとめを残しておきます。

①土台を作る

仕事の性質を明らかにする。仕事の目的や意義を確認し、分かるように伝える。

失敗にも色々な理由があり、複雑なシステムでの失敗や新しい挑戦での失敗は悪いことではないことを伝え、思い込みや信念を作り変える。

目標を明確にする。なぜその仕事が重要なのかをはっきり伝える。(上の例で言うと、子供の命が大切であることを思い出してもらう。)

②参加を求める

リーダーが「自分は全てを知ってるわけではない」ことを伝え、メンバーに参加してもらうように促す。つまり、協力してほしいことを伝える。

発言を引き出すような適切な問いを投げかける。質問をする。「ミスや事故はありましたか?」→「あなたの患者は今週ずっと安全でしたか?」

「責任を問われない報告」という仕組みを作ったり、ディスカッションのガイドラインを作ったり、意見を述べることを明確に求める。

③生産的に対応する

率直に発言してくれたことに感謝する。きちんと反応・対応をする。

怒ったり見下すのは論外。

感謝し、敬意を払い、道を示す。

耳を傾ける、受け入れる。

失敗を恥ずかしいものではないとする。

明らかな違反は制裁措置をとる。

これらは全部、「リーダーとしてやるべきこと」ですね。

心理的安全性は、そのチームのリーダーの手腕にかかってるんです。

とすると、ここで一つの疑問が生まれます。

私はリーダーではないので、私のいるチームの心理的安全性に関わることができません。

という疑問です。

心理的安全性があるかどうかはリーダーにかかっており、リーダーでない人にとってはどうしようもないように思えます。

しかし、『恐れのない組織』では最後の方に「よくある質問」が載っており、そこに今のような疑問も乗っています。

「心理的安全性はリーダーにかかってるが心理的安全性をつくる後押しは誰にでもできる。」らしいです。

リーダーになるのに上司である必要はない。とも書かれていますね。

ここらへんの実践方法は、これから自分で試してみたり他の本を読んだりして学んでいくしかないのかなと思います。

心理的安全性を確保する方法、誰かもっと教えてほしい!
いや、自分で学んでいくしかねーか!
学んだらちゃんとこのサイトで共有するね!

感想

正直、Googleも認めてMicrosoftやNetflixも重要視してて、他にも色んな組織や学校でも重大なものとして実践されてて、有効性を示す論文も多数あって、自分の直感とも一致しているときたら疑いようがないというか、自分の人生において真っ先に取り入れるべき事項だと感じます。

これからの人生、自分が組織内でリーダーになるようなことがあれば、まず間違いなく心理的安全性を最優先課題として置くでしょう。

自分が組織のリーダーではなくメンバーである場合、心理的安全性が最優先だとリーダーに伝えられるかどうかはその組織の心理的安全性によります(笑)

いやでも、実際そんな簡単な話じゃないですよねって言いたい。

多分、日本のほとんどの組織・チームに心理的安全性はありません。(イメージ)

心理的安全性が大事なので、上司として皆が安心して発言できる環境作りをしてください!

だなんて言えない!絶対!…いや、言えるか?

人間、ある程度大人になると頭が固くなっちゃうというか、もう変われなくなっちゃうんですよ。

もちろん、人間は本当はいつからでも自分を変えることはできますよ。でも、変われる人っていうのは「変わりたい」と自分で思ってる、自分がどんな人間なのかメタ認知がしっかりしている人だけなんですよ。

自分の意見が全て正しい・自分は間違ってないって意識が強すぎて、心理的安全性って言葉を理解しても「自分が心理的安全性を脅かしている」ことには一生気付かないでしょうね。なぜなら、自分がどんな人間なのか自分で理解していないし、人の意見よりも自分の信念の方が大事だから。

もしかしたら、それは僕たちの技術力や会話力が未熟なだけで、やりようによっては頑固な人でも・自分がどんな人間なのか理解していない人でも・変わろうと思っていない人でも変えられるのかもしれません。

でも、そんなことするなら逃げた方が楽というか、他の職場に行くわサヨナラの方が楽ですよねって思ってる人は多そう。

つまり、人を変えようとするための心理的安全性が低いってオチです。悲しいね。

自分の手の届く範囲で、自分の同僚と部下の間だけでも心理的安全性が確保されるように動きます。未来の人たちのために。

自分が成長し、より良い大人になるためには「心理的安全性」というものを知ることは必須だと思います。
ぜひ全日本人に読んでほしい一冊です。
皆で心理的安全性の高い国を作ろう。頑張ろうね。
恐れのない組織

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