運動量保存の法則とは

運動量保存の法則とは
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運動量保存の法則とは

運動量保存の法則は、物理の中でも重要な保存則の1つです。
保存則といえば、エネルギー保存の法則を思い浮かべる人が多いと思います。エネルギー保存の法則はエネルギーが変わらない法則であり、運動量保存の法則は運動量が変わらないという法則です。
運動量が変わらないことによって、どのような運動について理解することができるのでしょうか。

今回は、運動量保存の法則について、わかりやすく簡単に解説していきます。

運動量保存の法則とは

運動量保存の法則

内力のみを受けるとき、運動量の総和は変化しないという法則

$$m_1v_1+m_2v_2=m_1v_1’+m_2v_2’$$

運動量保存の法則とは、内力のみを受けるとき、運動量の総和は変化しないという法則のことです。

物体と物体が衝突するときを考えます。
普通、物体が衝突すると内部摩擦で熱が発生したり変形したりするので、力学的エネルギーは保存されません。外部から力が加えられないとき、物体と物体が衝突しても運動量は保存されます、これを運動量保存の法則といいます。

運動量保存の法則の導出

運動量保存の法則導出

上図のように、右向きに速さv1で運動している質量m1の物体Aと、右向きに速さv2で運動している質量m2の物体Bの2つの物体の衝突について考えます。
AとBがΔt秒の間衝突したときに発生した力の平均の大きさをFとし、物体Aの速さは右向きにv1’、物体Aの速さは右向きにv2’になったとします。

運動量と力積の関係より

$$m_1v_1’-m_1v_1=-FΔt・・・①$$

$$m_2v_2’-m_2v_2=FΔt・・・②$$

と、式を作ることができます。
補足ですが、作用反作用の法則より、2つの物体にはたらく力の大きさは等しく、物体Aにはたらく力は左向きなので、-Fとしています。

①、②より

$$\frac{m_1v_1’-m_1v_1}{m_2v_2’-m_2v_2}=\frac{ -FΔt }{ FΔt }\\
\frac{m_1v_1’-m_1v_1}{m_2v_2’-m_2v_2}=-1\\
m_1v_1’-m_1v_1=-m_2v_2’+m_2v_2\\
m_1v_1+m_2v_2= m_1v_1’+m_2v_2’$$

となり、運動量保存則の法則の公式を導出することができます。

例題

例題1

下図のように、速さ4.0m/sで運動している質量2.0kgの小球Aが、静止している質量5.0kgの物体Bに衝突したところ、小球Aの速さは逆向きに1.0m/sとなった。衝突後の物体Bの速さは何m/sか。

運動量保存の法則例題

解答

小球Aが初めに動いていた方向を正として、向きに気をつけながら運動量保存の法則を使います。

$$m_1v_1+m_2v_2=m_1v_1’+m_2v_2’\\
2×4+5×0=2×(-1)+5×v\\
v=2$$

∴2 m/s

例題2

下図のように、なめらかな水平面上に、なめらかな曲面ABをもつ質量Mの台が置かれている。質量mの小球がv0の速さで曲面ABを登り始めた。小球が最高点に達したとき、台の速度Vを求めなさい。ただし、水平面と曲面ABはなめらかに接続されているものとし、小球は曲面ABを超えることがないとする。

運動量保存の法則問題

解答

なめらかにとは、摩擦がないという意味です。

このような問題でも、運動量保存の法則で求めることができます。
「内力のみがはたらく」場合が衝突とは限らないのです。

小球が最高点に達しているとき、小球は台に対して静止しています。
言い換えると、小球が最高点に達しているとき、小球と台の速度は等しいのです。

運動量保存の法則より

$$mv_0+M×0=mV+MV\\
V=\frac{v_0}{m+M}$$

∴\(\frac{v_0}{m+M}\)

なお、摩擦がない場合はエネルギー保存の法則を使うことができるため、エネルギー保存の法則を用いることで小球の高さを求めることも可能です。

例題3

x軸正の向きに10m/sで進んでいる質量2.0kgの小球Aと、y軸正の向きに5.0m/sで進んでいる4.0kgの小球Bが衝突したところ、小球Aの速度のx成分が6.0m/s、y成分が2.0m/sとなった。小球Bの速度のx成分vxとy成分vyを求めよ。

運動量保存の法則斜めの問題

解答

一直線ではない平面の運動であっても、運動量保存の法則を使うことができます。
このような問題の場合、x軸方向とy軸方向で、それぞれ運動量保存の法則を用います。

運動量保存の法則より

x軸方向

$$2×10+0=2×6+4×v_x・・・①$$

y軸方向

$$0+4×5=2×2+4×v_y・・・②$$

①、②より

\(v_x=2,  v_y=4\)

∴vx=2 m/s   vy=4 m/s

まとめ

内力しかはたらかない場合、その系では運動量保存の法則が成り立ちます。
内力のみはたらく例として物体と物体の衝突がよく登場しますが、分裂、合体、上の例題2のような問題、摩擦のある物体の上を物体が動いている問題など、パターンは様々なので、色々な問題を解くことをオススメします。

 

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