「人を自分の意のままに操りたい!!」
こう考えたことのある人は多いのではないでしょうか。
権力を持っている人には逆らいにくいですし、大好きな人の頼みは聞いてしまいます。
逆に、自分が権力を持っていれば人を操ることができますし、自分のことが好きな人は頼みをよく聞いてくれます。
心理学では、あえて本来の自分と異なる部分を見せることで自分自身を良く見せようとすることを自己呈示(じこていじ)といいます。
自己呈示の中でも、相手を支配するために相手に与える印象を意図的に操作する自己呈示を方略的自己呈示、主張的自己呈示といい、5種類に分類することができます。
今回は、人を操る方法として、5種類の方略的自己呈示を紹介したいと思います。
追従
自分を魅力的に見せることで相手に取り入ることを追従といいます。
お世辞を言ったり同調することで相手に好印象を与え、相手を自分の意のままに操ろうとする戦略です。
洋服を見ているときに店員から
「その服よく似合っていますね!」
と言われるのは、お世辞を言うことで相手が自分を操ろうとしているわけです。
「本当ですか?凄いですね!」「今の会議での発言、かっこよくて痺れました!」
上下関係がハッキリしている場合、下の人が上の人にお世辞を言ったり同調することで、自分の意見を通しやすくすることができます。
また、自分の見た目をよくすることで自分の意見を通しやすくしようとすることも追従に含まれます。
見た目が良い人の話をよく聞いてしまう気持ちは分かるような気がしますよね。
ただ、追従しようとお世辞や同調を変に使いすぎると、「おべっか野郎」「なんでも同調する人」と思われてしまうので、使い方には注意しましょう。
威嚇
力や恐怖による支配、自分は相手を苦しめることができることをアピールすることを威嚇といいます。
脅したり殴るフリをして、「言うことを聞かなければ殴られる」「言うことを聞かなければクビになる」ような状況を作ることで人を操ることが可能です。
・実際に力を持っていると相手が分かっていること
・実際に行動に移す可能性があると思われていること
・相手が逃げ出せない状況にあること
これらの条件が整っていると、威嚇をより効果的に使うことができます。
ただ、デパートでおもちゃが欲しい小さな子供が泣き叫んで訴えるのも威嚇の1つです。
上下関係において上にいる人ほど簡単に「威嚇」を使うことができますが、下の人が「威嚇」を使うこともできます。
「威嚇」の使いすぎは嫌われる原因になりますし、上からの押し付けはパワハラでしかないので、使い方には注意しましょう。
自己宣伝
自分の有能さをアピールし、相手から尊敬されようとすることを自己宣伝といいます。
尊敬している人の言うことは正しいように思いますよね。
自分が相手から尊敬されることによって、自分の意見を通しやすくすることができます。
優秀な上司の意見は素直に聞きたくなりますし、有能な部下の意見はとりあえず聞いてみようと思いますよね。
有能さをアピールする方法は、相手に直接自分の能力を見てもらったり、他人経由で自分の良さを伝えてもらったりする等があります。
また、「〇〇会社の社長さんとお会いしました」とツーショットをSNSに載せたりするのも自己宣伝の1つです。
積極的に自分の有能さをアピールすることも良いですが、ときには謙遜することで自分の有能さをアピールすることもできます。難しいところです。
ただ、自分の能力が正しく相手に伝わっている場合、能力の誇張は信頼を失うかもしれません。
「勘違い野郎」にならないように気を付けましょう。
模範
自分の人格の良さや道徳的優位性を示すことを模範といいます。
誰にでも優しくて人格が素晴らしい人から頼み事をされると、「あの人からの頼みなら断れません。」となりますよね。
自分が道徳的に正しいことを行っている場合、相手にも道徳的に正しい行いを強要することができます。
いつも優しくしてくれる人に対する忠義や、神秘的な雰囲気を持つ宗教上の人物の教え等が「模範」になります。
「皆も頑張ってるんだから君も頑張ろうよ」
「誰も見ていなかったとしてもルール違反はダメだと思うんだ」
「これくらい人として当然だよ」
このようなセリフを普通に言える人は、模範を用いて人を操ろうとしていると言えるでしょう。
しかし、正義を振りかざしすぎると、「面倒くさい人」と思われるので、気を付けましょう。
哀願
敢えて自分の弱みを見せることで、相手から同情させたり協力を得ようとしたりすることを哀願といいます。
「可哀想、助けてあげたい」「力になりたい」
このような状況にすることで、相手の行動を誘導することができます。
募金活動や、マイノリティー等の立場が低い人たちがよく使っている印象です。
自分の弱みを見せ、
「そんなことないよ」
と言わせたらこっちのものです。
ただ、使いすぎると自尊心が傷つきますし、ただの構ってちゃんと思われるようになるかもしれません。
まとめ
追従、威嚇、自己宣伝、模範、哀願
この5つを巧みに使いこなすことで、相手を意のままに操ることが十分可能なのではないでしょうか。
もしかしたら、既に無意識にこの5つを使いこなしているかもしれませんね。
日常生活において、少しだけでも方略的自己呈示を意識してみることで自分の意見を通しやすくなるでしょう。
ただ、どの項目でも書きましたが、使いすぎには注意してくださいね。
参考文献
方略的自己呈示を知ったきっかけになった1冊を紹介します。
人を操る方法以外にも、合計100個の心理学について紹介されている面白い本です。
ぜひ参考にしてみてください。