世の中には私たちがまだ理解していないだけで、様々な未知な理論や法則が眠っています。
私たち当たり前のようにスマホやPCを使っていますが、もし文明が違う形で発達していたら違う機械が登場していたのかもしれないと思うことがあります。
そして、まだまだ未知な理論や法則があるんだと思い知らせてくれるのがライフゲームです。
今回はライフゲームについて、わかりやすく簡単に解説していきます。
ライフゲームとは
ライフゲームとは、数学者ジョン・コンウェーによって考案されたセル・オートマトンと呼ばれる計算モデルの1つです。
“ライフ”と名前が付いているのは、セルのマス目を生きているか死んでいるかと定義するからです。
色の付いているセルが”生きている”セル、色のないセルが”死んでいる”セルです。
次の世代でセルが生きるか死ぬかは、セルの周りにある8つのセルの状態で決定します。
ライフゲームには4つのルールがあります。
誕生:死んでいるセルに隣接する生きたセルがちょうど3つあれば、次の世代が誕生する。
生存:生きているセルに隣接する生きたセルが2つか3つならば、次の世代でも生存する。
孤独:生きているセルに隣接する生きたセルが1つ以下ならば、次の世代で死滅する。
過剰:生きているセルに隣接する生きたセルが4つ以上ならば、次の世代で死滅する。
この4つのルールがどう計算されていくのかを図で見てみましょう。
左上の第一世代と第二世代に注目します。
第一世代b3は死んでいますが、周りに3つの生きているセルがあるため、第二世代で誕生します。
第一世代c4は生きており、周りに3つの生きているセルがあるため、第二世代でも生きています。
第一世代c2は生きていますが、周りに生きているセルが1つしかないため、第二世代では死にます。
このように、上記の4つのルールを基に、セルが生きたり死んだりするのがライフゲームです。
ライフゲーム 面白いパターン
たったこれだけのルールですが、ライフゲームには様々な振る舞いをするパターンがあるので、いくつか紹介していきます。
ライフゲーム グライダー
さて、先程の画像ですが、第一世代と第五世代、第二世代と第六世代が同じ形であることに気付いた人はいたでしょうか?
これは、グライダーと呼ばれるライフゲームの中で最も有名な形の1つです。
第一世代と第五世代は同じ形ですが、1つ右下に移動していますよね。
この形の場合、上記の4つのルールを考えると、ずっと右下に移動していくことになります。
ライフゲーム 宇宙船
次に有名なのが宇宙船と呼ばれるものです。
様々な大きさや形の宇宙船が考案されています。
ライフゲーム グライダーガン
グライダーはセルを移動していくものでしたが、新たなグライダーを発射し続けるグライダーガンと呼ばれるパターンもあります。
これも、上記の4つのルールに基づいて計算されています。
グライダーガンを見つけることができる人生って、どのような人生なのでしょうね。
ライフゲーム エデンの園配置
エデンの園配置とは、他の配置から到達できない配置、つまり、最初にそのように設定しない限り絶対にこの配置にはならない配置のことです。
ライフゲームでは、このようなものも考案されています。
ライフゲーム ブラウザ
ライフゲームの見た目はとても複雑ですが、ルールは4つしかなく単純であるため、プログラミングを行うことによって簡単にライフゲームを再現することができます。
http://math.shinshu-u.ac.jp/~hanaki/lifegame/
http://www.daiichi-g.co.jp/osusume/forfun/07_lifegame/07.html
https://kmaeda.net/kmaeda/demo/gameoflife/
これらのサイトで簡単にライフゲームをブラウザ上で遊ぶことができます。
グライダーガンや宇宙船などを見つけることができる凄さを実感できると思います。オススメです。
ライフゲームの派生
ジョン・フォイ・ノイマンのライフゲーム
さて、今紹介したライフゲームは「周囲8マス」の「生きているor死んでいる」という情報を基にルールを作っていましたが、世の中には様々なライフゲームがあります。
ロボットはロボットを作ることが可能だと思いますか?
ジョン・フォイ・ノイマンという歴史上最高の頭脳を持っていたと言っても過言ではない人物は、上の動画のようなライフゲームを見つけ出します。
(※この頃、まだPCは存在しない)
このライフゲームは「生きているor死んでいる」の2つの状態ではなく、29種類の状態を持つライフゲームです。
29種類の状態が色で表されているのでカラフルになっています。
2:45くらいまではテープを読み取っているので、2:45くらいまで飛ばすとわかりやすいです。
上の動画を簡単にいうと、機械は自己複製を行うことができる、という内容です。
このようなライフゲームを頭の中で見つけることができる頭脳、想像もできません。
最新のライフゲーム Gemini
こちらは、最初に紹介した4つのルールで作られたライフゲームですが、セルの数は84万以上もあります。
2010年に投稿されたものであり、今この瞬間も新たなライフゲームが考えられています。
宇宙は神が作った計算機と言われても納得してしまいそうです。
ライフゲームの意義
「生命」とは、自己複製する機械です。
多くの生物はDNAを持ち、子に自分の情報を遺伝させます。
皆さんも知っている通りDNAの塩基配列はアデニン、チミン、シトシン、グアニン、つまり、A・T・C・Gの4文字のみで表されるデジタルな情報です。
ジョン・フォイ・ノイマンはライフゲームを用いて自己複製するモデルを作りました。
今回紹介したライフゲームは「生きているor死んでいる」の2つの情報でしたが、情報の数を4つにしたものがDNAであると考えることができるのではないでしょうか。
DNAのルールを完全に読み取ることができれば、人類は人工生命体を作ることが可能になるかもしれません。
ライフゲームは、自然科学が持つ最も深遠な謎を解く鍵です。
そして、まだまだ未知な理論や法則があるんだと思い知らせてくれるのがライフゲームです。
参考文献
私の人生観を変えた一冊です。
基礎的な科学の知識や考え方がないと読むのに苦労するかもしれませんが、全ての人に読んでほしいと思っています。
この本を読めば、科学の奥深さと恐ろしさを感じることになると思います。
ぜひ参考にしてみてください。