誤謬(ごびゅう)とは論証の間違いのことです。
このような間違った主張を誤謬、誤謬の中でも間違ってると知りながら敢えて誤謬を用いることを詭弁といいます。
誤謬には形式的なものと非形式的なものがあります。
形式的誤謬とは簡単に言うと数学みたいに表せるもののことで。論理の構造そのものに問題があるもの。
非形式的誤謬とは言葉の問題だったり前提のすり替えだったりなようなものです。
間違った論証のパターンはある程度知られています。
誤謬を知ることで、知らないうちに論理的に間違ったことをしないようにしましょう!
真のスコットランド人論法
定義を後から変更することで前提を好きなように変えてしまうことを真のスコットランド人論法といいます。
「目の茶色い人」とかであれば定義は明確なので問題ありませんが、「優しい人」のような定義が曖昧なものは後から定義を変えることで主張を否定することができてしまいます。それが誤謬です。
詳細はコチラ。
お前だって論法
良い点を取りたいなら勉強した方がいいんじゃない?
相手の主張を否定するために相手がその主張に沿った振る舞いをしていないと指摘する論法。
議論の内容と相手の人間性は無関係です。
非常に初歩的な詭弁であり、人身攻撃論法の一つ。
論点のすり替えですね。
多義語の誤謬
好きな時間に登校する自由とか、不正行為をしてもいい自由とか、そんなことが許されるわけありません!
ある主張を支持するために、言語の多義性を利用して主張の途中で言葉の意味を変えてしまうこと。
例)
人々は幸福を求めるべきだと言うが、麻薬を使ってでも幸福を得ようとするのは間違っている。
幸福の意味が途中で変わっている。これは誤謬です。
滑り坂論法
お菓子を食べることが当たり前になり、
たくさんお菓子を食べることになり、
肥満になり、
糖尿病になるぞ!
1つのことが起こると次々に別の現象が起き、最終的には悪い結果になるぞという論法。
「本当にエスカレートしてしまうのか」根拠がないのが問題。
もし学校で制服を廃止すると…?
循環論法
なぜAなの?→Bだから
なぜBなの?→Cだから
なぜCなの?→Aだから
のように循環してしまっている論法。
前提の中に結論が入っているので論理的になっていない。
おっと、日本国憲法第98条の悪口はここまでだ。
偽りのジレンマ(白黒思考、誤った二分法)
勉強を頑張るか、部活を頑張るか!
「他に選択肢はない」と思わせようとすること。
実際は他にも選択肢があるのに2つしか選択肢がないように思わせること。
お前が味方にならないなら、お前は敵だ!!
結果に訴える論証
・経済成長が教育への投資を増やしてるだけかも
・政府の予算には限りがあるので、増やせばいいとは限らない
ある主張を採用すると良いことがおこると訴えることで、ある主張が真であると言うこと。
主張がいい結果につながるからといって、その主張が真であるということにはならない。
早まった一般化
男性は全員暴力的な人だ!
つまり、全てのフルーツは甘い!
少なすぎるサンプルから結論を導き出すこと。手軽にできるので使う人が多くて危険。
例)
A中学校の生徒が問題行動を起こした。A中学校は学校全体で問題行動の多い学校だろう。
なお、「私は今まで4人の男性と付き合ったが全員暴力的な人だった。男性は全員暴力的かもしれない」であれば主張自体に問題はない。真偽はともかく。
新しさに訴える論証
今までのスマホの時代はもう終わった!
なぜ終わったのかの説明がない
新しいものは古いものを改善して作るものが多いので古いものよりも良い場合もあるが、古いものより必ず良いわけではない。
新しいものの価値を高いものだと思い込んでしまう傾向にありますよね、特に映画。
逆に、「昔から残ってるものだから正しいんだ」という論証を伝統に訴える論証といいます。
対人論証(人身攻撃)
異論を挟む前にまずは勉強したらどうですか?
主張を批判するのではなく、主張する人を批判すること。
主張の内容と主張する人の欠点等は独立しており、どんな人が発言しようと意見の真偽は意見の中にある。
議論から目をそらし、相手の主張の評判を下げることを目的としていることが多い。
前件否定
宿題をしなかった
つまり、成績は良くならなかった
PならばQである
Pでない
よってQではない
というもの。Qである可能性もある。
後件肯定
私はは成功している
つまり、私は大学を出ている
PならばQである
Qである
よってPである
というもの。Pじゃない可能性もある。
感情に訴える論証
「子供のために」という正義を利用することで、論理的ではないのに関わらず自分が正しいという印象を与えようとする詭弁、同情論証とも。
「子供のことを考えなよ」は大半の場合、論点をずらす行為です。
こんな論法を使うなんて酷いと思わないの?
最後に
色々と誤謬を紹介しましたが他にも誤謬はたくさんあります。
無意識のうちに誤謬を使わないようにするか、相手の知性や感情の弱みに付け込みバレないように上手に詭弁として使いましょう。
ただし、誤謬・詭弁があるからといって主張が偽であるとは限りません。
単純に論理立てるのが下手なだけ・間違っているだけで結論は正しいかもしれないので、誤謬を見つけたからといって間違いだと決めつけないようにしましょう!