夏目漱石が「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したことは誰しもが知っているほど有名です。
「日本人がそんな台詞口にするか。『月が綺麗ですね』とでも訳しておけ。 それで伝わるものだ。」
日本で生きていると、確かにそうかもしれないなと感じることができますよね。
今回は、ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化とは何か、その意味や特徴、メリットについて説明していきます。
ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化とは 意味と特徴
ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化とは言語コミュニケーションの分類の1つです。
ハイコンテクスト文化とは、実際に言葉として表現したものだけではなく言葉として表現していないもを伝えることが得意な文化のことであり、ローコンテクスト文化とは、言葉として表現されたことのみを伝える文化のことです。
簡単にまとめると、ハイコンテクスト文化は空気を読む文化、ローコンテクスト文化は言葉で伝える文化という意味になります。
ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化の特徴をまとめると上の図のようになります。
日本はハイコンテクスト文化を持つ最も特徴的な国であり、ドイツがローコンテクスト文化を持つ最も特徴的な国です。
なお、ハイとローはどちらが良いか悪いかという意味ではなく、特徴に名前を付けただけのものです。
確かに、「月が綺麗ですね」が「I love you」という意味を持つ日本は、ハイコンテクスト文化を持つ典型的な例といえますね。
ハイコンテクスト文化のメリットとデメリット
ハイコンテクスト文化のメリットは
・非言語コミュニケーションが豊富なこと
・相手の言いたいことを察する、空気が読めること
・曖昧な表現で誤魔化すことができる
つまり、「言わなくても分かるでしょ?」という空気を作り出すことが可能であることが、ハイコンテクスト文化のメリットです。
逆に、ハイコンテクスト文化のデメリットは
・空気を読まなければいけない
・「言わなくても分かる」と期待してしまう
・正確な表現をしない
ことです。
つまり、共通の文化、共通の理解のない相手とコミュニケーションを取るのが苦手であるといえます。
ハイコンテクスト文化とグローバル化
ハイコンテクスト文化で生活してきた日本人は、ローコンテクスト文化の国の人との会話に気を付ける必要があります。
私たちは、当たり前のように行間を使ったり、言葉にしなくても伝わることを前提にコミュニケーションを取ったりしています。
しかし、それは日本の文化の特徴であって、世界全てが同じなのではありません。
日本人同士の会話においても、共通認識を持っていない人と会話をするときは、ローコンテクスト文化のように正確に言葉通りの表現を行うべきでしょう。