哲学的ゾンビはとても有名な概念なので、どこかで聞いたことのある人も多いでしょう。
心とは何か、意識とは何か、皆自分と同じように考えているのか…
これらのことを考えるに哲学的ゾンビはうってつけです。
哲学者ゾンビが気になる人は、「マリーの部屋」もチェックすることをオススメします。
今回は、哲学的ゾンビとは何かについて、わかりやすく簡単に解説していきます。
哲学的ゾンビとは
哲学的ゾンビとは、見た目や反応は人間と同じであるが、クオリアを全く持っていない人間のことです。
ゾンビ映画に出てくるようなゾンビのことではありません。
クオリアについては
でも説明しましたが、簡単にいうと「~~な感じ」と表せる感情のことで、「風って心地よいよね」といった独特の感覚のことをいいます。
例えば、上の写真を見た感想は?と聞かれたとき、
「オーロラって綺麗だな」「北極って寒そうだね」等と答えると思います。
哲学的ゾンビにはクオリアが存在しないため、「オーロラって綺麗だな」「北極って寒そうだね」と感じません。
しかし、哲学的ゾンビは何も感じていないのにも関わらず、普通の人間と同じように「オーロラって綺麗だな」「北極って寒そうだね」と反応をするのです。
哲学的ゾンビとサイコパス
このような説明をすると、「感情のない人間が哲学的ゾンビなんだ、それってサイコパスみたいなものだな」と思ってしまうのですが、それは違います。
クオリアには「オーロラってきれいだなと思える感じ」以外にも、「殴られると痛いな」という感じもあります。
普通の人は殴られると痛みを感じて「いたっ」と反応しますが、哲学的ゾンビは痛みを感じず「いたっ」と反応します。
感情がないのが哲学的ゾンビなのではなく、意識がなく反応は普通の人間と同じである人が哲学的ゾンビなのです。
サイコパスは他人の気持ちが分からない、感情の一部が欠落している人のことを言い、哲学的ゾンビとは全く関係ないのです。
哲学的ゾンビの見分け方
哲学者ゾンビの見た目は反応は普通の人と同じです。
仲良い人を一人思い浮かべてください。
その人が哲学的ゾンビではないという証拠はどこにありますか?
いくら「私は哲学的ゾンビではない!」と言っても、哲学的ゾンビも同じように「私は哲学的ゾンビではない!」と言うでしょう。
オーロラを見てどう思う?と聞いても、普通の人も哲学的ゾンビも「オーロラってきれいだね」と答えるでしょう。
哲学的ゾンビは意識がないだけで、反応自体は普通の人と同じです。
つまり、自分に意識があることは分かりますが、他人の意識の存在を私たちは証明できないのです。
もしかしたら意識を持っているのは私だけで、他の人は全員意識のない哲学的ゾンビかもしれませんね。
哲学者ゾンビはありえないのか?
実際、哲学的ゾンビの存在はありえるのでしょうか?
実は友達に意識はなく、刺激に反応しているだけの哲学的ゾンビである可能性はあるのでしょうか?
安心してください。
哲学的ゾンビはあくまでも思考実験上の存在であり、実際に存在が証明されているものではありません。
もしかしたら自分以外の人間は意識がないゾンビなのではないか?
と考えただけの話であり、本当に哲学的ゾンビが存在しているわけではないのです。
しかし、哲学的ゾンビが存在している可能性はあるのではないか?と考えると不安ですよね。
だからこそ、哲学的ゾンビという考えが有名になっているのかもしれません。
哲学的ゾンビの漫画がある?
一時期、哲学的ゾンビをわかりやすく理解することができる漫画がネット上で話題になりました。
左の一列がピンクの子の視点
右の一列が眼鏡の子の視点
眼鏡の子は哲学的ゾンビなので、見えているものに何も感じていないので真っ黒
ピンクの子はキャラメルを食べ哲学的ゾンビになったため、キャラメルを食べた後は常に真っ黒
しかし、客観的に見て哲学的ゾンビかどうかは分からないため、哲学的ゾンビになった後もいつも通り会話をしている。
という内容ですね。
何度見ても怖いというか、恐ろしい漫画ですね。
哲学的ゾンビが本当に存在しているかもしれないと不安になる人がいてもおかしくありませんね。
参考
哲学的ゾンビなど、様々な思考実験がわかりやすく簡単にまとまっています。
哲学的ゾンビを面白いと感じた人にオススメです。