私たちは様々な法律の下で暮らしています。
今当たり前のように使っているスマホも電波法という法律が関係していますし、職場では労働基準法、家を借りるときは借地借家法、道路を歩くことは道路交通法が関係しています。
今回は民法とはどんなものかについて説明していきます。
私法と公法
民法とは何かと何かの関係を律するものです。
民法を大きく2つに分けるとすると私法と公法に分けることができます。
公法は公権力(国や地方公共団体)と私人(個人や法人)を律する法律であり、私法は私人と私人を律する法律です。
その中でも刑法は公法の代表例であり、民法は私法の代表例となります。
法人とは?自然人って何?
民法で登場する私人は個人と法人に分かれています。
個人は一人ひとりのことであり社会における最小単位です。
我々は生まれながらにして権利を持っているため自然人とも言いますが、法令上は単に「人」「個人」と表記されることもあります。
生まれながらにして権利を持つと言いましたが、赤ちゃんがいつ権利を持つかは刑法と民法で異なる扱いをされます。ちなみに、民法上では「胎児の身体が母体から全部出たとき」に自然人として権利を得るという扱いをしています。
法人とは「法によって権利能力を認められた人」のことを言います。
例えばバッテリーの充電中にバッテリーが発火・破裂してしまったとき、バッテリーを開発した人…バッテリーを売った人…バッテリーを組み立てた人…どの人を訴えたらいいか分からなくて困ってしまいますよね。
そんなとき、バッテリーを作った会社を人と見立てることで会社を人のように訴えることができるようにと作られたのが法人というものです。
民法ってどんな時に適用されるの?
民法は自然人や法人のような私人と私人の間を律する法律ですが、一体どういうときに適用されるのでしょうか?
上記のように「人」と「人」との関係が出てきたら基本的に民法の適用範囲として考えます。取引や家族、相続人に関する内容です。
また、「人」と「物」との関係も民法の適用範囲です。
ただし、企業の経済活動に関する内容は商法が定められており、民法よりも優先して商法が適用されます。もし商法の規定に無いような内容であれば民法が適用されます。
民法は
第1編「総則」
第2編「物権」
第3編「債権」
第4編「親族」
第5編「相続」
の全5編で構成されており、1~3編は財産法、4~5編は家族法と呼ばれています。
我々は様々な財産を持っていますが、人が持っている財産は不動産等の物を支配する「物権」と預貯金等の「債権」に分けることができます。
預貯金は「銀行に払い戻しの請求ができる権利」であるため債権の1つとなっています。ややこしいですがAGG等の債券ETFの債券ではありません。
財産法の種類
私たちの持っている財産は「物権」と「債権」がほとんどです。著作権等の「知的財産権」というものも存在していますが、こちらは著作権法として別の法律が定められているため、財産法では「物権」と「債権」のみを考えます。
物権はさらに10種類に分けられており、
・占有権
・所有権
・地上権
・永小作権
・地役権
・入会権
・留置権
・先取特権
・質権
・抵当権
の10種類のみが物権として認められています。
一方、債権とは「銀行に払い戻しの請求ができる権利」のように「ある私人(自然人と法人)に対して一定の行為を請求できる権利」のことを言います。
債権の発生事由として
・契約
・事務管理
・不当利得
・不法行為
の4つを定めています。
交通事故が起きたときは「不法行為」、コンビニで何か買うときに「110円になります」と言われるのは「契約」になります。
また、契約には「贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解」の13種類が存在しています。
家族法の種類
家族法では「親族」と「相続」について定められており、
「親族」では
・結婚や離婚
・実子や養子
「相続」では
・遺言相続や法定相続
・法定相続人
・相続分
・遺産分割
・遺留分
などについて定められています。
民法が定めている大雑把な内容について知ることができたでしょうか。
財産法や家族法についての詳しい内容はまた別の機会にまとめることにします。