空を見上げると、そこには毎日違う世界が広がっています。
なんとなくでも「夏になると入道雲がきれいだな~」とか「今日は月が少し赤いかも?」等と感じることがあるでしょう。
空の現象を知ると毎日が楽しくなります。
皆さんの毎日が少しでも素敵になるように、日本でも見ることのできる綺麗で珍しい空の現象について紹介・説明をしていきたいと思います。
地球影とは
引用元:「孝信s Photoブログ」http://wapichan.sakura.ne.jp/
まずは地球影の紹介をします。
地球影は冬の晴れた日であれば東京でも毎日のように観測することのできる現象です。
写真の空の下側だけが暗いのは「地球の影が映っているから」であり、この暗い部分が地球影となっています。
地球影を見るためのポイントや条件
地球影を見るためのポイントや条件は
- 空気が澄んでいること
- 晴れた日であること
- 遠くを見れるような高い場所であること
- 日の出前・日の入後の5~10分間に太陽の反対側を見ること
です。
東京の冬は大体晴れているので、ちょっと高いところであれば毎日のように地球影を見ることができます。
地球影の仕組み
地球影の仕組みはとても単純です。
太陽が沈む直後(昇る直前)に太陽を見ることはできませんが上空にはまだ太陽の光が届いています。(富士山の山頂は高い位置にあるので太陽が長く見えるのと同じですね。)
上空のみが照らされている約10分間、空の一部のみが暗くなり地球の影が見えるということです。
影が黒色ではなく若干青いのは空が青い理由と同じく太陽光の青色の部分が散乱されているからであり、青空と影の間の赤紫色の部分は「ヴィーナスの帯」と言われています。
地球影は高い場所で見た方がきれいに見えるため、飛行機の中で見るととても綺麗に観測することが可能です。
彩雲とは
彩雲とは雲の一部が色づいているように見える現象です。
様々な色を見ることが可能なのですが、ピンクやオレンジ、緑色がよく目立ちますね。
地球影と異なり季節に関係なく見ることができるため、毎日見ることができるかもしれない現象です。
彩雲を見るためのポイントや条件
彩雲を見るためのポイントや条件は
- 太陽の近くで見えることが多い
- 巻雲や巻積雲に色づくことが多いが積雲や高積雲でも見えることがある
- 巻雲や巻積雲が多い春や秋に見えやすい
- 富士山周辺は日本一彩雲が見えやすい
です。
とにかく巻雲や巻積雲で見えることが多いため、巻雲や巻積雲の多い春や秋に太陽付近を見ることをオススメします。もちろん太陽を直接見てはいけないのでサングラスをすると良いでしょう。
一応補足すると、巻雲はこんな感じの高いところに現れる薄い雲です。
秋の風物詩ではありますが春にも見ることができます。
彩雲の仕組み
彩雲は高校物理で習う「光の回折」という現象により発生します。
「回折」とは波が回り込む現象のことであり、少しでもドアを開けていると外の音が中に聞こえるようなことを言います。
光が雲の粒に当たると雲の粒の後ろ側に回り込もうとするのですが、光の色(波長)によってカーブの大きさが異なり色が現れます。
雲の粒の大きさがバラバラのときは様々な色が回折し色が見えにくいのですが、雲の粒の大きさが揃っていると色も揃うのでハッキリと見ることができます。
雲の粒は雲の端に行くほど小さくなる傾向があるため、雲の中心よりも雲の端の方が色をハッキリと観測できることが多いです。
グリーンフラッシュとは
グリーンフラッシュとは太陽が沈む(昇る)瞬間、太陽の上側が緑色に輝く現象です。
見ることができる場所や時間が限られているため、普通に生活していたらまず見ることのない現象でしょう。
太陽が緑色になるのは僅か1秒程であるため、写真よりも動画の方が撮りやすいです。
グリーンフラッシュを見るためのポイントや条件
グリーンフラッシュを見るためのポイントや条件は
- 太陽が沈む(昇る)瞬間の約1秒
- 空気がとても澄んでいること、山の上や秋・冬が見えやすいとされている
- 日本では小笠原諸島・石垣島で見ることができる
- 日本以外だとハワイが有名
です。
空気がとても澄んでいることが条件であるため、日本で見ることができるのは小笠原諸島と石垣島くらいなのではないでしょうか。
季節に関係なく見ることが可能なのですが、小笠原諸島や石垣島であっても毎日のように見ることができる現象ではないため、とても希少な現象です。
グリーンフラッシュの仕組み
光によって色の曲がりやすさが異なります(画像を作成した後に気づいたのですが、青色の進み方が変ですね…)。
大気によって太陽の光が屈折するのですが、屈折率の違いにより赤色よりも青色の方が高い位置に分離されます。
しかし、青色は大気によって散乱してしまうので太陽の光として人まで届きません(空が青い理由)。太陽が沈む(昇る)瞬間にちょうど緑色の光しか届かなくなる瞬間があり、グリーンフラッシュという現象が起こります。
このとき、空気中に塵やホコリがあると緑色の光が遮られてしまうため、空気の澄んでいるところでしか見られないということですね。
光芒とは
光芒とは雲の隙間から太陽の光が筋のように差し込む現象です。
その美しい光景から「天使の梯子」とも呼ばれています。
グリーンフラッシュと違い、澄んでいる空気では見えない現象なので日本ではよく見ることができます。
光芒を見るためのポイントや条件
光芒を見るためのポイントや条件は
- 空が曇っており、雲に隙間があること
- 大気に塵や水滴があること
- 太陽の方に現れる
- 春や夏の日中や、秋や冬の霧が晴れていくときが見やすい
です。
大気中の水滴が関係しているため、日本のような湿度の高い国では見やすい現象となっています。
季節に関係なく見ることができるので、写真のように雲に隙間があるときは探してみると良いでしょう。
光芒の仕組み
光芒が見える仕組みはとても単純で、空気中の塵や水滴に光があたり、その光が乱反射しているという仕組みです。
乱反射をすることで、光がどこを通っているのかを見ることができます。
空気中に塵がないような澄んだ空では光芒を見ることはできません。
環水平アークとは
環水平アークとは空にできる逆さ虹のような現象のことを言います。
似たような現象に環天頂アーク、タンジェントアーク、ラテラルアーク等がありますが、これらは虹とは異なるメカニズムにより起こっています。
環水平アークを見るためのポイントや条件
環水平アークを見るためのポイントや条件は
- 薄い雲が出ていること
- 太陽の高度が高いこと(昼であること)(太陽高度が58°以上であること)
- 南の方を見ること
- 季節は関係ないが、太陽の位置が高い春や夏に見えやすい
です。
環水平アークは昼の太陽の下側の空に現れる現象ですが、環天頂アークは朝と夕方の真上の空、タンジェントアークは朝と夕方に環天頂アークよりも低い位置に現れます。
虹は太陽の反対側に現れるので、観測する上で虹との一番の違いは太陽側にあるかないかという点ですね。
環水平アークの仕組み
これらのアークは全て氷晶と関係しています。
環水平アークは厚みのある氷晶が大気に浮かんでいるとき、太陽の光が氷晶の側面から入射し屈折することによって虹色に分散され現れます。虹は水滴によるものなので、これは大きな違いですね。
雲の中にできることもあるので彩雲と間違えてしまうことが多いのですが、環水平アークは色がハッキリと分かれている点が彩雲とは異なります。
これらの現象は全て日本で見ることができます。
地球影のような簡単に見つけられる現象もあれば、グリーンフラッシュのようなめったに見られない現象もありますが、運よく見ることができれば嬉しい気持ちになりますよね。
参考文献
参考にした本です。
説明はちょっと簡単な感じはしますが、色々な現象について知ることができる本です。
もっと詳しく知りたい方はぜひお読みください。