ゴドウィンの法則(ゴドウィンのヒトラー類比の法則)とは、「議論やディスカッションが長引けば長引くほど、誰かがヒトラーやヒトラーの悪事を持ち出す」という格言です。
法則と言われていますが数学や科学のような法則ではありません。
あえて法則という言葉を使って表現することで、軽い気持ちでヒトラーに例える人や論理的誤謬(間違い)を抑制することを期待して使われています。
Wikipediaでは、
インターネット上での議論が長引けば長引くほど、ヒトラーやナチが引き合いに出される確率は1に近づく。
と記載されています。
今回は、ゴドウィンの法則について簡単に紹介していきます。
ゴドウィンの法則は誰かをヒトラーに例えること
上でも説明したように、ゴドウィンの法則とは議論やディスカッションが長引けば長引くほど、誰かがヒトラーやヒトラーの悪事を持ち出す」ことです。
簡単に言うと、「まるでヒトラーだな」「それはナチスの行いと同レベルだ」みたいに、議論の相手をナチスやヒトラーに例えてしまうことをゴドウィンの法則と言います。
他にも、「ナチスカードも用いる」とも言います。
橋下氏をはじめ弁舌は極めて歯切れが良く、直接話を聞くと非常に魅力的。しかし「維新」という政党が新自由主義的政党なのか、それとも福祉国家的政党なのか、基本的政治スタンスは曖昧。主張は別として弁舌の巧みさでは第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす。
— 菅直人 衆議院議員 (@NaotoKan) January 21, 2022
2022年某日、菅直人元総理が橋下氏をヒトラーに例えて話題になりました。(なお、橋下氏も過去何度かヒトラーを例えとして出しています。)
議論を行っていると「相手を打ち負かそう」という気持ちが強くなっていきます。
「相手を打ち負かそう」という気持ちが強くなると、歴史的に悪名高い独裁者であるヒトラーの名前を使って相手を批判することで、まるでヒトラーのような悪事を働いているという印象を与えて貶めようとしてしまうのです。
上の菅直人元総理のツイートがまさにそれで、橋下氏を批判しよう・貶めようとするために、ヒトラーと同じだと例えることで橋下氏に悪い印象を与えようとしています。
他にもインターネット上では「それはヒトラーと同じ考えだよ」みたいな言葉をたまに見かけることがあります。このように安易にヒトラーが持ち出された場合、「あぁ、これはゴドウィンの法則だな。」と人々は感じているのです。
※ヒトラーに例えることが正しい場面もあるため、「ヒトラーに例える=間違い」とは限らないことに注意しましょう。
ヒトラーに例えることは論理的誤謬である可能性が高い
「それはヒトラーが行った政策と同じである。故に間違っている!」
という指摘は、論理的誤謬(論理的に間違っている)である可能性が非常に高いです。
ナチス・ドイツでは反タバコ運動が行われていた。反タバコ運動はナチス・ドイツを思い起こさせる活動だ。
はい、もちろん論理的誤謬ですよね。
「ナチス・ドイツに似ているかどうか」と「反タバコ運動の良し悪し」は別です。
ナチス・ドイツに似ていると関連付けることで、内容の良し悪しとは別に悪印象を与えようとする論理的誤謬のことを、「関連付けの誤謬」「連座の誤謬」と言います。
議論で思ったように相手に勝てないからといって、相手の発言の一部を恣意的に取り上げ、「関連付けの誤謬」を用いて悪印象を与えようとする行為はただのレッテル貼りと同じです。
安易にヒトラーを持ち出す時点で議論をする力は下の下というイメージですね。
もちろん、ヒトラーを持ち出すことが正しい場面もありますが。
まとめ
ゴドウィンの法則は、長引く議論でヒトラーが引き合いに出される傾向にあるという法則のことです。
ゴドウィンの法則を知っておくことで安易にヒトラーを持ち出さなくなるため、論理的誤謬を抑制する効果が期待できます。
安易にヒトラーを例えに出すのは建設的な議論の妨げになるため、真剣に言葉を交わしたいのであれば議論でヒトラーを持ち出すことには注意しましょう!